100円ショップ「ダイソー」の「エアーポンプ」は安いけれど、釣りにちゃんと使えるの?
そんなギモンに答えるべく、実際に購入して「静音性」「送風量」「連続使用時間」の検証をしてみました。
結論から言えば、最初の一台として「そこそこ使える」製品となっています。
ただし、モードの選択には注意が必要です。
本記事では、釣り用エアーポンプの現行品全機種のスペックを調査した筆者のおすすめのエアーポンプも紹介しています。
釣り用エアーポンプ選びの参考にしていただければ幸いです。
外観と付属品
パッケージです。
770円(税込)ながら、「強弱切り替え」機能が搭載されています。
他の1,000円程度のエアーポンプだと、「強弱切り替え」機能がないものも多いです。
中身です。
カタログスペックの比較
ダイソーの「エアーポンプ」のスペック情報を見てみましょう。
釣り用エアーポンプの王道機種、Hapysonの「YH-735C」と冨士灯器の「FP-2000」とあわせて比較します。
数値が大きいほど電池持ちがいい。
ダイソーの「エアーポンプ」は、送風量などの「空気を送る」性能はHapyson「YH-735C」、冨士灯器「FP-2000」と比べても見劣りしていません(あくまでもカタログスペック上は)。
そればかりか、雨でも大丈夫な防水性能「IPX4」となっています。
多少気になる点は、以下の3点です。
- 「モーター寿命」が500時間しかない
- 「付属ストーン」が小さく、表面が荒いので泡が大きそう
- 駆動方式が「ダイアフラム式」なので動作音がうるさいかも?
これらの点は一般的な格安エアーポンプの弱点と共通しています。
さて、カタログスペックが優れているダイソーの「エアーポンプ」ですが、「静音性」や「送風量」、「連続使用時間」は実際のところどうでしょうか。
筆者所有のHapyson「YH-735C」(※7年間そこそこ使用)と比べる形で簡易的に検証してみましょう。
以下の検証1~3では、毎回新品の電池を使用しています。
ダイソー製「単一アルカリ乾電池」で、使用期限は同一です。
検証1「静音性」
まず、「静音性」を計測しました。
【方法】
- 水を入れた活かしバケツにエアーポンプをセットする。
- 動作音を30センチ程度の距離に設置した2台のスマホで録音、60秒間の平均音量(dB)を調べる。
- 各スマホでの計測結果の平均値を採用する。
【結果】
結果は次の通りです。
ダイソーの「エアーポンプ」のほうが静音性が高いことがわかります。
Hapysonの「YH-735C」は「ローリングポンプ方式」搭載で静音性に優れた機種です。実際に「動作音が静かだった」というレビューが多い製品です。私も釣り場で動作音が気になったことはありません。
しかし、ダイソーの「エアーポンプ」のほうが体感上もかなり静かに感じました。
音が静かだと、きちんと「送風量」が出ているか気になります。
検証2「送風量」
つぎに、1分間の「送風量」を計測しました。
【方法】
- 水を張ったバケツの中で巨大計量カップに1分間、エアーポンプを使って空気をためていく。
- たまった空気の量を計量カップのメモリの位置から調べる。
- 使用電池による計測誤差を減らすために、すべての電池をローテーションして各項目6回ずつ計測して平均値を算出する。
【結果】
エアーストーンの違いで3通りに分けて計測しました。
- 「ストーンなし」… エアーストーンを装着しない
- 「ストーン小」 … ダイソーの「エアーポンプ」付属のストーンを装着する
- 「ストーン大」 … Hapysonの「YH-735C」付属のストーンを装着する
結果は以下の通りです。
ダイソーの「エアーポンプ」は「弱」モードでは、ストーンを装着するとカタログスペックより送風量が低下しました(赤字)。「強」モードでは、付属ストーンを装着したときはカタログスペックとほぼ同じ送風量となりました(黒字)。
それに対して、Hapysonの「YH-735C」はどの条件でもカタログスペック値より送風量は多かったです。
全体的に、ストーンが大きくなると抵抗が増加するため送風量は低下しました。ダイソーの「エアーポンプ」の「弱」モードと「ストーン大」との組み合わせは最悪で、出力の弱いポンプに大きい(抵抗の大きな)ストーンをつけると送風量が激減することがあるので注意が必要なことがわかります。
これらの計測結果は、電池が新品の状態での結果です。
時間が経過すると「送風量」はどう変化するでしょうか。
検証3「連続使用時間」
さいごに、「連続使用時間」を調べます。
【方法】
- 水を張ったバケツの中でエアーを出し続ける。
- ストーンはそれぞれのエアーポンプに付属しているものを使用する。
- 5時間おきに「送風量」を下記の要領で計測する。
- ダイソーの「エアーポンプ」は計測を3回して平均値を採用する。
- ハピソンの「YH-735C」は2つの電池の消耗具合を平等にするために毎回電池の位置を入れ替える。入れ替え前と入れ替え後で3回ずつ計測し、計6回の平均値を採用する。
【結果】
◆「弱」モード
ダイソー「エアーポンプ」の「弱」は……
・2回とも「35時間」程度で停止した。カタログスペックの連続使用時間「40時間」より5時間程度短い。
・30時間の送風量は平均「0.29L/分」で、カタログスペック「0.7L/分」の半分以下。
このことから、カタログスペックは「最大値」で表示されているようです。
高級アルカリ電池だと達成できるかも?
Hapyson「YH-735C」の「弱」は……
・1回目は「98時間」、2回目は「111時間」で停止した。カタログスペックの連続使用時間「75時間」よりかなり長持ちした。
・75時間の送風量の平均は「0.57L/分」で、カタログスペック「0.6L/分」とさほど変わらない。
このことから、カタログスペックの送風量は75時間の「平均値」で表示されているようです。
素晴らしい性能です
◆「強」モード
ダイソー「エアーポンプ」の「強」は……
・「30時間18分」で停止した。カタログスペックの連続使用時間「28時間」を2時間程度超えた。
・カタログスペックの送風量「1.0L/分」は早々に下回ったが、28時間の平均送風量は「0.75L/分」程度であり、そこそこのパフォーマンスを維持した。
以上から、カタログスペックの送風量は「最大値」で示されているようですが、連続使用時間は通常の電池でも達成可能な時間でした。
こちらがダイソーの「エアーポンプ」の得意なモードです。
Hapyson「YH-735C」の「強」は……
・「32時間21分」で停止した。カタログスペックの連続使用時間「25時間」より7時間程度長持ちした。
・25時間の送風量の平均は「1.28L/分」で、カタログスペック「1.3L/分」とほぼ同じ。
以上から、カタログスペックの送風量は25時間の「平均値」で表示されているようです。
良心的な表記です。
ダイソー「エアーポンプ」おすすめの使い方
ダイソーの「エアーポンプ」の送風量をモード別に比較しましょう。
「弱」モード
ダイソーの「エアーポンプ」で「弱」モードを使用するメリットはほぼありません。「強」モードと同じくらいの連続使用時間のわりに、送風量はだいたい半分以下です。動作音量もたいして変わりません。つまり、このモードは「送風量が多いと困る」場合に使う謎モードです。
計測ミスかと思い、2度計測しましたが、そうでもないようです。
仕様でなければ、他に考えられるのは製品不良ですが。
「強」モード
「強」モードは、泳がせ釣りのエサの活かし用途に使えます。序盤は「1.0L/分」に近い送風量がありますので大手釣具メーカー品とそん色なく使えます。また、25時間経過時でも「0.62L/分」程度の送風量がありますので、10匹程度の小アジ用には十分です。
特別な理由がなければ、ダイソーの「エアーポンプ」は「強」モードがおすすめです。
ちなみに、今回の検証をもとに作成したスペック表です。
電池効率を見るとダイソー「エアーポンプ」は「強」モード、Hapyson「YH-735C」は「弱」モードを得意とします。各得意モードではHapysonのほうが約1.3倍電池の節約ができます。
気づいた点
付属ストーンがもろい
ダイソーの「エアーポンプ」の付属ストーンは表面の削れが早く、意外ともろいので取り扱いには注意が必要です。チューブから繰り返し抜き差ししていたら、壊れてしまいました。
ストーンを強く握るのは厳禁です。チューブから引き抜くときにはプラスチック部分をつまむようにするといいです。
替えのストーンは100円ショップ「セリア」などにも置いています。
電池が回復する方法 3選
おまけで、今回効果のあった電池復活ワザを3つ紹介します。
「ちょっと待つ」
スイッチを切ってちょっと待つと、わずかですが再び使えることがあります。ミニ四駆世代は覚えがあるはず。
「電池をきちんと装着」
電池はスプリングで固定されているため、長時間にわたる振動等で電池の接触がわるくなっていることがあります。電池とフタの間にゴムシートを入れて安定させることができました。
「電池を入れ替える」
Hapysonの「YH-735C」は2つの電池を使用します。上側の電池だけでも「弱」モードは動きます。それだけに「弱」モードの場合、2つの電池の消耗具合に差が出てくるようです。時折2つの電池の位置を入れ替えて使うと、かなり長持ちします(毎釣行ごとでOK)。ただし、「強」モードではあまり意味はありませんでした。
まとめ
「買い」なのか?
ダイソーの「エアーポンプ」は買いなのか?と問われると、ほかのエアーポンプをすでに持っている人にとっては「買う必要はない」商品です。しかし、まだエアーポンプを持っていなくて、短期的に試してみたいという人にとっては「買ってみる価値はある」商品です。ただし、現時点では耐久性はまだわからない状況ではあります。
今後、長期間使用による故障発生の有無も追記したいと思います。
ダイソー「エアーポンプ」以外のおすすめ機種
ダイソーの「エアーポンプ」は発売間もないため、耐久性の点で未知数です。また、送風量も電池2個使用の製品と比べて不利になります。特に泳がせ釣り用途では、エサの元気度が釣果にダイレクトに影響しますので、なるべく送風量が多い製品がおすすめです。
より確かなものを選びたい人は、今回の比較で使用したHapysonの「YH-735C」や「カタログスペック比較」で登場した冨士灯器の「FP-2000」は信頼性が高くおすすめです。
これらの機種は値段が少しばかり高くても、モーター寿命が長いので長期間使えます。また、電池効率が良いので電池代を節約できる分、使えば使うほど非効率な機種を買うよりお得になります。
ショッピングサイトのレビューも高評価ばかりなので、気になる方はご覧になってはいかがでしょうか。
5つの人気機種の比較結果はこちら
エアーポンプの全機種カタログスペック比較はこちらの記事をご覧ください。
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