エアーポンプのモーターには寿命がありますし、内部の錆びも発生していますので、愛用のHapyson YH-735Cもそろそろ買い替えの時期も近いと思います(使用レビューはこちら)。今回は買い替えの候補を検討します。
要約
- 中華メーカー物はリスキーなのでおすすめしません(スペック詐欺も多そう)。
- アクアリウム用でもいいですが、逆流防止弁が別途必要なことが多く、スペック上で釣具メーカー製より極端に優れているというものはなさそうです。
- 釣具メーカー製では二大メーカー(Hapyson、冨士灯器)以外のレビューは少数で、二大メーカー製が安全です。
- 特に、最初の一台としてはHapysonYH-735Cか冨士灯器FP-2000のいずれかを選べば満足すると思います。
まずは二大メーカーの製品を見てみよう
まず、2023年1月段階での大手2社、Hapysonと冨士灯器のエアーポンプの主要スペックをまとめました。優秀な項目は青太字で示していますので参考にしてください。
メーカー 型番 | 使用 電源 | 連続 使用時間 | 送風量 | モーター 寿命 | 電池効率 (送風量計) | 防水 性能 | 付属 ストーン 形状 | 静音性 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Hapyson YH-702B | 単1 ×2本 | 60時間 | 0.45L/分 | 200 時間 | 13.5 (27) | ー | 球 | |
Hapyson YH-707B | 単1 ✕1本 | 65時間 | 0.45L/分 | 1000 時間 | 29.25 (29.25) | 防滴 | 球 | |
Hapyson YH-708B | 単1 ×2本 | 強:55時間 弱:150時間 | 強:1.0L/分 弱:0.45L/分 | 1000 時間 | 強:27.5 弱:33.75 (55-67.5) | 防滴 | 球 | |
Hapyson YH-732P | 単3 ✕2本 | 25時間 | 0.45L/分 | 700 時間 | (11.25) | 防滴 | 球 | |
Hapyson YH-734C | 単1 ×2本 | 強:25時間 弱:75時間 | 強:1.3L/分 弱:0.6L/分 | 1000 時間 | 強:16.25 弱:22.5 (32.5-45) | 水洗可 | 球 | ◎R |
Hapyson YH-735C | 単1 ×2本 | 強 :25時間 弱:75時間 | 強:1.3L/分 弱:0.6L/分 | 1000 時間 | 強:16.25 弱:22.5 (32.5-45) | 水洗可 | 円柱 | ◎R |
Hapyson YH-737B | 単1× 2本 シガー ソケット | 50時間 | 1.0L/分 | 1000 時間 | 25 (50) | 防滴 | 円柱 | |
Hapyson YH-739C | 単1 ×2本 | 強:15時間 弱:45時間 | 強:1.5L/分 弱:0.7L/分 | 700 時間 | 強:11.25 弱:15.75 (22.5-31.5) | 水洗可 | 円柱 | ◎R |
Hapyson YH-750 | 単1 ×2本 | 強:4時間 弱:45時間 | 強:2.3L/分 弱:0.7L/分 | 300 時間 | 強:4.6 弱:15.75 (9.2-31.5) | 水洗可 | 円柱 | ○R |
Hapyson YH-760 | USB充電 | 強:6時間 弱:24時間 オート:12時間 | 強:1.5L/分 弱:0.7L/分 オート:1.5-0.7L/分 | ー | (9-16.8) | 水洗可 | 円柱 | ○R |
冨士灯器 FP-800 | 単1 ×1本 | 50時間 | 0.8L/分 | 1000 時間 | 62.5 (40) | IPX4 日常生活防水 | 球 | |
冨士灯器 FP-1000 | 単1 ×2本 | 60時間 | 0.6L/分 | 1000 時間 | 18 (36) | IPX5相当 日常生活防水 | 球 | |
冨士灯器 FP-2000 | 単1 ×2本 | 強:18時間 弱:65時間 | 強:2.0L/分 弱:0.9L/分 | 1000 時間 | 強:18 弱:29.25 (36-58.5) | IPX6相当 生活防水 水洗可 | 円柱 | ○R |
冨士灯器 FP-3000 | 単1 ×4本 | 強:24時間 弱:70時間 | 強:3.0L/分 弱:1.5L/分 | 1000 時間 | 強:18 弱:26.25 (72-105) | IPX6 耐水 | ロング 円柱 |
比較項目
・使用電源:乾電池、USB充電、シガーソケットのものがあります。多くのものは単一電池2本という仕様になっています。単一電池は使い捨てなのでバッテリー自体が弱ることがないです。単一電池は1本100円くらいしますので、運用コストが意外とかかります。
・連続使用時間:どれくらい長く使えるかの目安です。長ければ長いほどよいです。新品の電池を入れて動かなくなるまでなのか、指定のエアー量を維持できる時間なのかは不明。
・送風量:1分間に送ることができる空気の量です。多ければ多いほど良いのですが、ハイパワーなものは電池の持ちがよくなくなります。だいたい1.0L/分の性能があれば、アジを活かす用途には十分使えます。ちなみにたくさんのアジを活かすには、エアポンプの性能以外にもバケツの水量、水温・水質管理なども重要です。
・モーター寿命:モーターには寿命があります。だいたい壊れるまでの目安の時間です。
・電池効率:単一電池1本あたりの送風量の合計です。多ければ多いほど効率がよく、電池交換の頻度が減ります。計算式は、送風量✕連続使用時間÷乾電池の数です。値が高いほど性能がいいということです(電池1本の合計送風量に比例した値です)。単一電池以外のものは※で示しています。
(送風量計):送風量の合計値です。送風量✕連続使用時間で算出しています。分を時間には直していませんが、合計値が高いほど電池が切れるまでに送れる風の量が多いということです。
・防水性能:水からの保護性能を表示しています。以下の表を参考にしてください。
一般呼称 | IPコード | 保護の内容 |
---|---|---|
ー | IPX0 | 保護されていない |
防滴 | IPX1 | 垂直に落ちてくる水滴による有害な影響がない |
防滴 | IPX2 | 垂直から15度の範囲で落ちてくる水滴による有害な影響がない |
防雨 (生活防水) | IPX3 | 垂直から60度の範囲で落ちてくる水滴による有害な影響がない |
防沫 (生活防水) | IPX4 | あらゆる方向からの飛沫による有害な影響がない |
防噴流 | IPX5 | あらゆる方向から噴流水による有害な影響がない |
耐水 | IPX6 | あらゆる方向からの強い噴流水による有害な影響がない |
防浸水 | IPX7 | 一時的に一定の水圧(水深)で水没しても内部に浸水しない |
水中 | IPX8 | 継続的に水没しても内部に浸水しない |
防滴は水滴が落ちても大丈夫な設計です。性能を表すIPコードではIPX1~IPX2で、防水性能は最低限と考えてください。生活防水は明確な基準はないですが、IPX3~IPX4でちょっと水しぶきがかかったり、濡れた手で触っても大丈夫、といった程度の防水性能です。IPX5やIPX6は噴流水や強い噴流水がかかっても大丈夫、ということでかなり頼もしい性能です。水洗い可というものもありますがかなり曖昧な表現で注意が必要です。私が持っているHapysonのYH-735Cは水洗いすると金属むき出しのモーターごと洗うことになるのでやや心配です。洗う場合はよく乾かす必要があるでしょう。
・付属ストーン形状:付属するストーンの形状です。キメが細かく大きいストーンほど、細かい泡が沢山でますので、酸素の供給量が増えるということです。球より円柱のほうがよいです。円柱でも長い円柱タイプもあります。ただし、ストーンだけ後で買うことも可能ですので参考まで。
・静音性:動作音が静かなローリングポンプを使用なら○、さらに静音性を高めたモデルは◎を付けています。レビューで動作音がうるさいと言及されていることが目立つものは△を付けています。Rはローリング式、Dはダイヤフラム式モーターです。
USB充電式はどうか
釣り用エアーポンプは乾電池式が多いですが、HapysonのYH-760はUSB充電式です。実売7000円前後します。乾電池は結構ランニングコストがかかります。5000円くらいの乾電池式を買うとすると、差額2000円程度です。単一乾電池1つで100円くらい、それを2つ使う機種として3釣行で200円、30回釣行くらいで回収できそうです。そうなるとコスパは良さそうですが、連続使用時間が短いです。送風量が同等のYH-739Cとくらべて半分くらいとなっています。強で6時間だとバッテリーの劣化で釣りの途中でパワーダウンしてしまうこともありそうです。連続使用時間が短いという商品レビューも散見されます。オート機能をうまく使ったり、モバイルバッテリーを持参して充電しながら使うことも前提となっていそうです。
電池効率を見てみよう
電池切れは困りものですね。なるべく長い時間、多くの空気を送風できる製品が良いエアーポンプの一つの条件といえます。ざっと概観すると、ハイパワーのものは電池効率がよくないです。ハイパワーで電池切れまで使った場合と、ローパワーで電池切れまで使った場合とでは、最終的に多くの空気を出すのは圧倒的にローパワーで使った場合です。当然、ローパワーすぎるとエアーの量が足りないために魚が弱りますし、ハイパワーすぎるとロスも大きいため、自分に必要な送風量をよく考える必要があります。私の場合、夏場に泳がせ釣りのアジを20匹ほどを30リットルのバケツに確保しておく場合、送風量は1.0L/分以上はほしいです。可能であれば、ハイパワーとローパーワーの2つの風量を切り替えができるものだと、魚の量に応じて調整できます。
HapysonのYH-708B、YH-734C、YH-735C、YH-737B、冨士灯器のFP-2000、FP-3000電池効率もよく、1.0/L以上の条件を満たしています。ただ、YH-708BやYH-737Bは最大1.0L/分なのでエビ等を活かすには最適ですが泳がせのエサ確保用にはもう少し性能がほしいところです。なお、YH-734Cは本体はYH-735Cと同じで、ストーンが違うだけのようです。
泳がせのエサ用エアーポンプはHapysonのYH-735C、冨士灯器のFP-2000、FP-3000の3択のようです。
モーター寿命
モーター寿命は1000時間が多いですね。一回5時間の釣行として200回できる計算です。年20回程度釣りにいくなら、10年はモーター寿命があることになります。モーター寿命300時間の製品だと、3年程度となります。
防水性能でいえば冨士灯器
冨士灯器の製品は、電池効率、モーター寿命の点で優秀なスペックとなっています。さらに、防水性能も高いものが多く、錆びに対する対策もできそうです。(もっとも、メーカーごとに比較方法が異なるでしょうから実際の性能は使ってみないとわかりませんが。)
自分の使い方だと秋は送風量は1L/分で十分なのでFP-2000か、FP-3000の弱を常用するという選択肢もよさそうです。FP-3000なら単一電池4つで本体サイズや重量が大きくなるので考えどころです。
今回調べた大手2メーカー以外にも、エアーポンプを販売している釣具メーカーはいくつかあります。また、アクアリウムのメーカー製品、最近目にする中華製品もあります。
次ページ以降でそれらの製品も調べてみます。
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