シマノの「24エクスセンスBB」はどんなリールなのでしょう。
この記事を読めば完全に解決します!
エクスセンスシリーズは、シマノのシーバスフィッシング専用のスピニングリールのラインナップです。シーバスのルアーフィッシングに求められる性能が詰め込まれた専用機ですが、実際何が優れているのでしょうか。
また、エクスセンスBBと上位機種エクスセンス、エクスセンスXRとの違いは何でしょうか。
この記事では、前半では「20エクスセンスBB」から「24エクスセンスBB」にアップデートされた際に新しく搭載された機能を紹介します。
後半では、上位機種「21エクスセンス」、「23エクスセンスXR」および、「24エクスセンスBB」とよく比較されるシマノの機種(アルテグラ、ストラディック)との比較をおこないます。
「24エクスセンスBB」の3つの新機能
「20エクスセンスBB」から「24エクスセンスBB」に進化して追加された機能は3つです。
1)マイクロモジュールギアⅡ、2)サイレントドライブ、3)ロングストロークスプールです。
さらにボディの材質が「高強度樹脂」から「CI4+」にグレードアップし、軽量化に成功しています(下表)。
画像出典:シマノカスタマーセンター
価格が据え置きなのがうれしいですね。
これらのアップグレートについて、サクッとみていきましょう。
1)滑らかで強い「マイクロモジュールギアⅡ」
画像出典:シマノHP
「マイクロモジュールギアⅡ」はギアの歯を小型化することで、ギアの歯数を増やしたギア「マイクロモジュールギア」の進化版です。
画像出典:シマノHP
「マイクロモジュールギア」はギアの接地面を複数で支えてギアの強度と巻き心地のなめらかさがアップする仕組みです。「マイクロモジュールギアⅡ」では設計が見直され、音鳴りの低減と巻き心地の滑らかさがさらにアップしました。
ルアーの水のつかみ具合や潮流の変化を感じ取るとる助けとなります。
「ギアのシマノ」の本領発揮ですね。
2)静かで巻き心地アップ「サイレントドライブ」
画像出典:シマノHP
「サイレントドライブ」とは、リールのボディ全体の基本設計の見直しです。これによって静かでなめらかな巻き心地を実現しています。
「マイクロモジュールギアⅡ」との相乗効果でルアーフィッシングで重要な水中の情報をより多く得られるようになります。
3)飛距離がアップ「ロングストロークスプール」
画像出典:シマノHP
「ロングストロークスプール」は、その名の通り、スプールのストローク(糸巻き面の縦の長さ)を長くしたスプールです。糸の減りが遅くなるので、キャスト時のスプールエッジ等に対する放出抵抗が低減され飛距離のアップに寄与します。
ルアーで探れる範囲が増えますので、より直接的に釣果のアップが期待できます。
これが今回のウリの一つです
4)軽量化に貢献「CI4+」
画像出典:シマノHP
「CI4+」とは軽量のカーボン素材である「CI4」の進化版です。「CI4」はプラスチック樹脂にカーボンを混ぜることで強化したものです。「高強度樹脂」より剛性、耐久性があるので、リールの軽量化に寄与しています。
画像出典:シマノHP
「24エクスセンスBB」新機能のまとめ
「24エクスセンスBB」のアップデート情報をまとめましょう。
- ギアの強さ、滑らかさ、静粛性のアップ(マイクロモジュールギアⅡ)
- 静かで滑らかな巻き心地(サイレントドライブ)
- 飛距離アップ(ロングストロークスプール)
- 軽量化(CI4+)
シーバスフィッシングに求められる機能をぬかりなくアップデートしていますね。
番手はC3000MHG、3000MHG、4000MHG、4000MXGの4つで、シーバスフィッシング専用機ならではの絞った番手となっています。
「24エクスセンスBB」と他のシマノ製スピニングリールとの比較
今回は以下のリールを比較します。
・「24エクスセンスBB」…エクスセンスシリーズのエントリー機。今回の主役。
・「21エクスセンス」…エクスセンスシリーズの最上位モデル
・「23エクスセンスXR」…エクスセンスシリーズの中級モデル
・「21アルテグラ」「23ストラディック」…「24エクスセンスBB」と同価格帯の汎用リール
機能比較(材質以外)
まずは、材質以外のリールの「機能」を比較します。
メーカー価格
メーカー価格からわかるように、エクスセンスシリーズの最上位は「エクスセンス」です。中級モデルが「エクスセンスXR」で、入門モデルが「エクスセンスBB」というわけです。2万円ずつくらいの差がありますね。
インフィニティクロス、インフィニティドライブ、アンチツイストフィン、デュラクロス
シマノの基軸リールの「23ストラディック」には、インフィニティクロス、インフィニティドライブ、アンチツイストフィン、デュラクロスの4つの機能が搭載されています。
これらの機能をカンタンにいえば以下の通りです。
- インフィニティクロス:耐久性がアップしたギアデザイン
- インフィニティドライブ:高負荷でも滑らかに巻けるシャフト構造
- アンチツイストフィン:ライントラブルを低減するフィン構造
- デュラクロス:なめらかかつ高耐久のドラグワッシャー
これらの機能は価格的に上位の「21エクスセンス」「23エクスセンスXR」にも搭載されていません。「23ストラディック」が優遇されていることがわかると思います。
詳細は23ストラディックの記事をご覧ください。
ボールベアリング
機種ごとに、ボールベアリング(BB)の搭載数が少しずつ違います。
これが各機種の差別化に役立っています。
ベアリングの搭載箇所は、以下のようにステップアップします。
基本的にボールベアリングは数が多ければ多いほど性能アップが望めます。
どこにベアリングが搭載されているかがポイントです。
「21アルテグラ」とそのカスタム版である「24エクスセンスBB」には5個ボールベアリングが搭載されています。これは中級クラスのリールにはあってほしい基本の箇所です。
基本箇所のボールベアリングの機能
「メインギアの左右」のベアリングは一番基本となるメインギアの回転を滑らかにします。「ピニオンギアの上下」のベアリングは、シマノでは「X-SHIP」と呼ばれる構造の一部で、高負荷時の巻きの滑らかさを増します。「ラインローラー」のボールベアリングは、おもにライントラブルを低減させます。
「23ストラディック」ではボールベアリングが1つ増えますが、これは「ハンドルノブ」のべリングです。これによって巻きのなめらかさがすこしアップします。ルアーフィッシングむけのアップデートです。
「23エクスセンスXR」以上には、スプール内部に2個のボールベアリングを追加した「リジッドサポートドラグ」が搭載されています。これによりドラグがよりなめらかに出るようになります。これは汎用リールではツインパワー以上の機種に搭載される機能です。
最上位の「21エクスセンス」にはローターナット部に1個、ウォームシャフトギア部に1個のボールベアリングが搭載されます。これらは巻き心地のアップに貢献しています。11個のボールベアリングは「23ヴァンキッシュ」と同等です。
「21エクスセンス」にはこれに加えて、ラインローラーに特殊な防水BBが使用されていて、特に壊れやすいラインローラーのボールベアリングをケアしています。
ハンドルノブのボールベアリング2個は簡単に追加できます。
これで上位機種の使い心地にグッと近づきます。
ラピッドファイアドラグ
「シーバス専用リール」とは何ぞや?に対する一つの回答が、「ラピッドファイアドラグ」です。エクスセンスシリーズの全機種に搭載されています。これはダイワの「クイックドラグ」のようなものでドラグを急に緩めたり締めたりしやすくなっています。
マグナムライトローター
シマノの汎用スピニングリールには、従来のコアソリッドシリーズと、軽量・低慣性がウリのMGLシリーズ(クイックレスポンスシリーズ)の2系統があります。
「マグナムライトローター」はMGLシリーズに搭載されるローターです。これは、その軽量さと左右非対称の形状によって、低慣性なローターです。ルアーを繊細に操作する釣りでは、この巻き出しが軽く、ピタッと止まるローターが活躍します。
コアソリッドシリーズの「21アルテグラ」のカスタム品である「24エクスセンスBB」には「マグナムライトローター」は搭載されていません。
材質の比較
最後に、リールのパーツに使われる材質を見てみましょう。
材質の差よって強度・剛性・軽量さが変わります。
ローターはボディの上に載るハンドルを回して回転する部分。
ベール(ベールアーム)は糸を誘導する針金状の部分。
スプールリングはスプールエッジを構成するパーツ。
画像出典:シマノHPから画像改変
リールに使用される素材の重さに対する強度(比強度)や重さに対する変形のしにくさ(比剛性)は、おおよそ下記の通りだと考えられます。
チタン > マグネシウム > アルミニウム > ステンレス > CI4+ > 高強度樹脂
※素材には様々な種類があり、特に金属の合金は特性がまちまちです。リールの価格からの推測も入れています。
(参考:比強度の一覧表、参考:マグネシウムの基礎知識、「マグネシウム合金」という素材)
ボディ材質
「24エクスセンスBB」のボディの素材は「CI4+」です。金属ではないので剛性や強度は落ちますが、軽さを重視するリールではよく用いられます。
ローター材質
「24エクスセンスBB」は「高強度樹脂」製のローターとなっています。必要最低限のものになっています。
もっとも、どんな素材がどれくらい、どのように使われてるかで剛性は決まりますので、樹脂製というだけでヤワだとは一概には言えません。
ベール材質
「24エクスセンスBB」にはステンレス製のベールが採用されています。こちらも実用上十分な素材といえます。
スプールリング材質
スプールリングも傷が付きやすいので工夫が凝らされる箇所です。「24エクスセンスBB」には、アルミスプールにスプールリングはアルマイトになっています。こちらも必要最低限のセッティングです。
24エクスセンスBB 総まとめ
以上、「24エクスセンスBB」の機能や素材は「最低限ここは外せない」というものに絞られており、入門者向けのシーバスリールともいえます。
「24エクスセンスBB」を買うことの意義は、コスパ高く「ラピッドファイアドラグ」を使いたい、これに尽きます。以下に派生元となる「21アルテグラ」との違いを示します。
- 24エクスセンスBB = 21アルテグラ+「ラピッドファイアドラグ」
「24エクスセンスBB」はスペック的には「21アルテグラ」に「ラピッドファイアドラグ」がついたバージョンなのです。エクスセンスシリーズ内では「マグナムライトローター」がついていない唯一のコアソリッドシリーズという点も指摘しておきます。
シーバスフィッシングの入門機に最適な本機ですが、「インフィニティクロス」「インフィニティドライブ」「アンチツイストフィン」「デュラクロス」といった汎用スピニングリールの最新機能は搭載されていません。「21アルテグラ」がベースになっていますから仕方のないことではありますが。
この点を加味するなら「ラピッドファイアドラグ」や「マグナムライトローター」が不要な人は少し高くなりますが最新機能が搭載された「23ストラディック」を選ぶ選択も悪くないと思います。耐久性が高く汎用性もアップします。
最後に、エクスセンスシリーズの関係性をまとめます。
24エクスセンスBB
↓
ローター剛性UP+ドラグ性能UP+低慣性ローター
↓
23エクスセンスXR
↓
ボディ剛性UP+巻き心地UP+防水ラインローラーBB+高耐久スプールリング
↓
21エクスセンス
目的や予算に応じて検討してみてください。
シマノ23ストラディックの記事はこちら
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