シマノ「25アルテグラ」登場！「23ストラディック」「24ヴァンフォード」と比較

シマノの「アルテグラ」の特徴はズバリ「ミドルクラスのコスパ機」です。

シマノの汎用スピニングリールを「上位」と「下位」に2分割した場合、ちょうど「上位の一番下」に位置するリールでもあり、上位機種のよいところをそのまま採用している最もコスパの高い機種の一つです。

この記事ではまず「25アルテグラ」の新機能を見ていきます。その後、「23ストラディック」「24ヴァンフォード」「21ナスキー」「22ミラベル」などのよく比較されるシマノのスピニングリールとの比較をじっくりしていきます。

この記事は以下の方におすすめです。

・「25アルテグラ」について、シマノHPよりも詳しく知りたい方
・「21アルテグラ」と「25アルテグラ」のどっちを買おうか迷っている方
・2万円前後のシマノ製スピニングリールを検討している方
　特に、「23ストラディック」や「24ヴァンフォード」との違いを知りたい方
・釣りのクオリティを保ちつつコスパを重視したい方
・釣り初心者で万能リールがほしい方

なるべく詳しく、やさしく説明しますので、お気に入りの一台を見つける手助けになれば幸いです。

「25アルテグラ」はココが変わった

「25アルテグラ」の変更点をいろいろな角度から見ていきましょう。

見た目

まずは見た目の比較です。

2025モデルは、黒金のカラーリングになり高級感が出ました。黒と金の組み合わせは「仏壇カラー」と揶揄されることもありますが、まあ、好みはそれぞれですね。

系譜

同世代の機種を見渡すと、ボディは「24ヴァンフォード」、ローターは「23ストラディック」のデザインを継承しているように見えます（下図）。

実際、単に見た目が似ているだけでなく、ローターはストラディック、ボディはヴァンフォードのようです。シマノHPやサポートページを調べてみると、25アルテグラのボディ素材（CI4+)やパーツ構成は24ヴァンフォードと同じです。また、25アルテグラのローター素材（高強度樹脂）やパーツ構成は23ストラディックと同じなのです。

加えて、「ドライブギア」や「ピニオンギア」「ウォームシャフト」といったギア類もこの３機種で全く同じもの（同一の品番のパーツ）が使われていることがわかります。

「ストラディック」「ヴァンフォード」は言うまでもなくシマノの2つの中核機です。この２機種から生み出されるキメラが「アルテグラ」なのです。

機能等の変化

それでは、21アルテグラから25アルテグラへ進化の変更点を細かく見ていきましょう。

機能面でアップグレードしたポイントは以下の3つです。

• １）インフィニティクロスの搭載
• ２）インフィニティドライブの搭載
• ３）アンチツイストフィンの搭載

加えて、以下の点も指摘しておきます。

・重量は5g～10gの軽量化
・メーカー価格は1500円～2000円の値上げ

これらの変更点をまとめると以下の表の通りです。

以下では、アップデート箇所の「インフィニティクロス」「インフィニティドライブ」「アンチツイストフィン」についておさらいしていきましょう。

１）ギアの接地面積増加で耐久性アップ「インフィニティクロス」

「インフィニティクロス」とは接地面積が増加したギアです。

新旧のギアの歯面の比較画像をみると、歯面がやや浅くなりかなり長くなったのがわかります。

シマノの負荷シミュレーションの結果を見ると、インフィニティクロスでは強い負荷がかかる赤い部分が減っていることがわかります。

ギアに集中的な負荷がかかることを防ぐことで、ギアの耐久性が従来品の約2倍になりました。

２）よりなめらかな巻きを実現する「インフィニティドライブ」

「インフィニティドライブ」とは、スプールを上下させる棒（メインシャフト）をより滑らかに動くようにした構造のことです。

具体的な仕組みは、次の2点です。

• メインシャフトを特殊低摩擦ブッシュで支持する
• メインシャフト自体を特殊表面処理や特殊加工する

そもそも「メインシャフト」はスプールを上下させるパーツです。

ここが滑らかに動作できるようになることで、高負荷時でもなめらかにスプールが上下するため、よりパワフルに巻くことができます。

３）ライントラブルを減らす「アンチツイストフィン」

「アンチツイストフィン」とはラインローラー下部の弾性体のフィンです。

これにより糸が脱落した状態（いわゆる「糸落ち」）を防ぐため、ライントラブルが低減します。

４）マイナーアップデート箇所

更に、超細かいことをいえば、4000番の機種（4000、4000XG、C5000XG）でハンドルがちょっと長くなりました（55mm→57mm）。

わずかなロングハンドル化によって巻きが軽く感じる可能性があります。

「25アルテグラ」のアップデートのまとめ

「25アルテグラ」の改良点を機能別にまとめましょう。

• ギアの耐久性2倍（インフィニティクロス）
• 高負荷時の巻取り力アップ（インフィニティドライブ）
• ライントラブルの低減（アンチツイストフィン）

これらのアップデート箇所は順当です。

というのは、ボディやローターの共通性がある「23ストラディック」「24ヴァンフォード」のアップデート箇所と同じですから。ただし、「25アルテグラ」には他の2機種に搭載された高耐久ドラグワッシャー「デュラクロス」の搭載は見送られました。この点は後に詳しく見ます。

驚きこそありませんが、性能は確実にアップしています。

新旧アルテグラで迷った場合は、新しい「25アルテグラ」を選ぶことをおすすめします。

25アルテグラのラインナップ

「25アルテグラ」は11のラインナップで登場です。

11のラインナップのうち、ボディ＆ローターは3サイズの展開となります（下表）。

25アルテグラには、24ヴァンフォードや23ストラディックにはある「3000番サイズ」（ボディ4000番＋ローター2500番）はありません。

3000番は特化モデルなので、汎用性の高いアルテグラのコンセプトにそぐわないのでしょう。

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アルテグラの立ち位置

シマノ汎用小型スピニングリールの中での「アルテグラ」の立ち位置を確認しましょう。

シマノの汎用小型スピニングリールは、ローター（回転する部分）の種類によって大きく2つのシリーズに分かれます。

• 「コアソリッドシリーズ」：高慣性のローターを搭載して巻きの釣りに最適
• 「マグナムライトシリーズ」：低慣性のローターを搭載して操作系の釣りに最適

「アルテグラ」はコアソリッドシリーズの最も安価なモデルです。

安価＝低性能ではないことがポイントで、上位機種の設計やパーツを流用したり、一部の機能を省略したりすることで実釣性能をなるべく落とさずにコストダウンされています。

たくさん機種がたくさんあってややこしいですが、これらの8機種をグループで分けると次の図の通りです。

リールにはいくつかの「兄弟機」が存在し、これらには共通のギアやボディ・ローターにも類似製があります。

また、シマノの原図では、「アルテグラ」と「ミラベル」が同じランクである印象を受けてしまいますが、アルテグラはステラ～アルテグラまでの上位機種の仲間です。それに対してミラベルはナスキーなどの下位機種の仲間です。このことは次項で具体的に見ていきます。

「25アルテグラ」と他のシマノリールを比較

「25アルテグラ」と近い価格でよく比較されるシマノのリールは、以下の機種です（価格順）。

・「24ヴァンフォード」：マグナムライトシリーズの中核機
・「23ストラディック」：コアソリッドシリーズの中核機
・「25アルテグラ」：コアソリッドシリーズの入門機（本機）
・「22ミラベル」：マグナムライトシリーズの入門機
・「21ナスキー」：低価格シリーズの最上位

「機能」の比較（材質以外）

まずは、材質以外のリールの「機能」を比較します。

「25アルテグラ」より上位のリールは機能が大幅にアップします。

「インフィニティクロス」「インフィニティドライブ」「アンチツイストフィン」はすでに紹介しましたから、それ以外の各機能を解説していきます。

防錆ベアリング「S A-RB」と防水機構の「Xプロテクト」

「25アルテグラ」以上の機種は防水性能が高くなります。

防錆ボールベアリングである「S A-RB」が搭載されています。

また、海水の侵入を防ぐ「Xプロテクト」もラインローラーとボディに搭載されています。

「Xプロテクト」とは海水の侵入を撥水処理＆ラビリンス構造によって防ぐ仕組みです。汎用スピニングリールの「Xプロテクト」は巻き感を阻害しない「非接触式構造」となっています。

一方で「22ミラベル」や「21ナスキー」には「Xプロテクト」の前身である「コアプロテクト」がボディに搭載されています。

「コアプロテクト」とは撥水処理を施したカバーで、ギアへの水の侵入を防いでくれる機構です。

ラビリンス構造なしで撥水処理のみという点が「Xプロテクト」との違いです。

「ロングストロークスプール」と「ウォームシャフトオシュレーション」

「25アルテグラ」以上の機種には「ロングストロークスプール」が搭載されています。これは、その名の通りストロークが長いスプールという意味です。

ストロークが長いと、キャスト時にスプールから糸が放出される際に糸の表面の高さがゆっくり減るため、スプールエッジに対する糸の摩擦抵抗が抑えられ、飛距離がアップします。

ストロークの長いスプールと相性の良いのが「ウォームシャフトオシュレーション」です。これは、スプールの上下運動を棒状のギア（ウォームシャフト）で行う仕組みです。

「マイクロモジュールギアⅡ」

「25アルテグラ」以上の機種には「マイクロモジュールギアⅡ」が搭載されます。

これにより「21ナスキー」「22ミラベル」に搭載されている「マイクロモジュールギア」より音鳴りの低減と巻き心地の滑らかさがアップしています。

ボールベアリングの搭載箇所

ボールベアリングの搭載によって、その搭載箇所の回転性能がアップします。

「24ヴァンフォード」「23ストラディック」「25アルテグラ」の違いを生み出しています。

「25アルテグラ」には合計5個のボールベアリングが搭載されています。「ピニオンギアの上下」と「メインギアの左右」と「ラインローラー」です。これらの搭載箇所はオーソドックスです。

ピニオンギアの上下をボールベアリングで支持する構造をシマノでは「X-SHIP」と呼び、高負荷のファイトで活躍します。また、ラインローラー部のボールベアリングはライントラブルの抑制に役立ちますので、どんなクラスのリールにも入っていてほしいと個人的には思います。

「23ストラディック」では、ハンドルノブに1個ボールベアリングが追加され、さらに「24ヴァンフォード」ではハンドルノブに1個ボールベアリングが追加されます。当然、巻き心地がアップします。

「材質」の比較

リールのパーツに使われる材質を比較してみましょう。
材質の差よって強度・剛性・軽量等が変わります。

ボディは「CI4+」でローターは「高強度樹脂」

何度か触れましたが、「25アルテグラ」のボディは「24ヴァンフォード」と共通と考えられ、素材はプラスチックにカーボン繊維を混ぜた「CI4+」です。剛性は金属には劣りますが、高強度樹脂より剛性は高く、軽量化に役立ちます。

「25アルテグラ」のローターは「23ストラディック」と共通と考えられ、「高強度樹脂」が採用されています。これはシマノのリール用の素材では最低ランクの剛性の素材ですが、ストラディックと共通のローターであることを考えると、素材を多めに使うデザインで剛性が確保されていると考えられます。

ギア系統は共通

「25アルテグラ」のドライブギアやピニオンギア、ウォームシャフトのパーツの品番を調べると、「24ヴァンフォード」や「23ストラディック」とまったく同じものが使われていることがわかります。

これらの3機種はかなりそっくりなミドルクラスの「3兄弟」なのです。

「ワンピースベール」

「ワンピースベール」だと継ぎ目がないので、特に柔らかいPEラインや細糸でのライントラブルの低減が期待できます。

「25アルテグラ」のベールはステンレス製のワンピースベールです。これは、「23ストラディック」と同じです。

「24ヴァンフォード」では軽量さを重視してチタン製のワンピースベールとなり、さらなる低慣性さに貢献しています。高価なはずです。

一方、「22ミラべル」や「21ナスキー」は、「ツーピースベール」です。だからといって、通常の使用に大きな支障があるわけではなく、性能が極端に落ちるわけではありません。

ドラグワッシャー「デュラクロス」

「25アルテグラ」のドラグワッシャーは通常のフェルトワッシャーです。

このフェルトワッシャーは前モデルと同じものであり、更新はありませんでした。

一方で上位の「23ストラディック」「24ヴァンフォード」のドラグワッシャーには耐久性の高い「デュラクロス」が採用されています。

デュラクロスとは直交するように織り込まれたフェルトワッシャーであり、ドラグの滑らかさを維持しながら、耐摩耗性が従来の10倍以上となっている高性能ワッシャーです。

「25アルテグラ」総まとめ　どんな人向きのリールか

最後に、「25アルテグラ」と「23ストラディック」と「24ヴァンフォード」の3機種の違いにフォーカスをあててまとめましょう。

名称	特徴	ドラグワッシャー	ハンドルノブBB
24ヴァンフォード	軽量 ・CI4+ボディ ・CI4+ローター ・チタンベール	デュラクロス	2個
23ストラディック	剛性 ・アルミボディ ・樹脂ローター ・ステンベール	デュラクロス	1個
25アルテグラ	普通 ・CI4+ボディ ・樹脂ローター ・ステンベール	ノーマル	0個

繰り返しになりますが、「25アルテグラ」は「23ストラディック」と「24ヴァンフォード」のキメラです。つまり、「23ストラディック」のローターとベールアームを持ち、「24ヴァンフォード」のボディを持ちます。ギア等の駆動系も3機種共通のものが使われています。

中核機2種のキメラなので、アルテグラは正真正銘、中核機の「ど真ん中」のリールとも言えます。

これら3機種には、ドラグワッシャーやハンドルノブBB個数の違いはあります。ただし、これはわずかな差別化です。アルテグラのドラグワッシャーは性能が低いわけではなく、耐久性がデュラクロスに比べると「普通」なだけです。ハンドルノブのボールベアリングも簡単に追加カスタムできます。

したがって、これら3機種の大きな違いはボディとローターに集約することができます。アルテグラは、ストラディックほどボディ剛性は不要で、ヴァンフォードほど軽量・低慣性なローターは不要、でも高性能なリールを安くほしいというユーザーの方向けの機種です。

たとえば、普段最上位クラスの高級リールを使っている方の近場のエサ釣りの用のサブ機に良いと思います。

また、釣りを本格的に始めたい人で、釣りの方針がまだ決まっていない人におすすめできる「無難」な機種でもあります。

非常にコスパの高い「25アルテグラ」はどんな釣りでもそつなくこなしてくれる非常に心強い相棒になってくれるはずです。