「ルアー釣りで上級者が満足できる機種がほしい」
「軽くて操作性の高いリールがほしい」
「コスパも重視したい」
そんなかたにおすすめな機種がシマノの「ヴァンフォード」です。
「ヴァンフォード」は、「ストラディック」と双璧をなすシマノの中核スピニングリールです。
2024年の8月から「24ヴァンフォード」が最新機能を搭載して発売されます。
今回は、「24ヴァンフォード」はどんなリールでどんな釣りに向いているのか、その特性を明らかにするために以下の2つの軸から比較していきます。
- 「24ヴァンフォード」と前「20ヴァンフォード」の比較(垂直比較)
- 「24ヴァンフォード」と「23ストラディック」の比較(水平比較)
このページをザッと見てもらえれば、このリールのことが全部わかるようにまとめました。
シマノ公式サイトよりわかりやすいと思います(多分)。
「24ヴァンフォード」には4つの機能が新搭載
「20ヴァンフォード」から「24ヴァンフォード」に進化して追加された機能は4つです。
- 1)インフィニティクロス
- 2)インフィニティドライブ
- 3)アンチツイストフィン
- 4)デュラクロス
「23ストラディック」の時と同じアップデート内容です。
・価格は若干アップしましたが、ほぼ据え置きです。
・重量はほぼ同じです。番手によって同じか5gほどの増減がありました。
・外観はより黒の印象が強くなり高級感がアップしました。ヴァンフォードのテーマカラーの赤色をかなり控えめにして様々な竿に合う配色になっています。
機能面のアップデートを順番にみていきましょう。
1)ギアの接地面積増加で耐久性アップ「インフィニティクロス」
「インフィニティクロス」は接地面積が増加したギアです。
新旧のギアの歯面の比較画像をみると、歯面がやや浅くなりかなり長くなったのがわかります。
こちらがシミュレーションの結果ですが、新しいギアでは強い負荷がかかる赤い部分が減っていることがわかります。
ギアに集中的な負荷がかかることを防ぐことで、ギアの耐久性が従来品の約2倍になりました。
2)よりなめらかな巻きを実現する「インフィニティドライブ」
「インフィニティドライブ」とは、メインシャフト周りの改良です。
具体的には以下の2つのポイントを改良しています。
- メインシャフトを特殊低摩擦ブッシュで支持する
- メインシャフト自体を特殊表面処理や特殊加工する
ちょっと難しいですね。
そもそも「メインシャフト」はスプールを上下させるパーツです。
このパーツを滑らかに動作させることで、高負荷時でもなめらかにスプールが上下するため、よりパワフルに巻くことができるリールになっています。
「X-SHIP」との関係
そもそも、スピニングリールは「ハンドルの回転」を「ロータの回転」「スプールの上下運動」の2つの動きに変換する道具です。
・「X-SHIP」:「ローターの回転」を滑らかにする
・「インフィニティクロス」:「スプールの上下運動」を滑らかする
3)ライントラブルを減らす「アンチツイストフィン」
「アンチツイストフィン」とはラインローラー下部の弾性体のフィンです。
これにより糸が脱落した状態(いわゆる「糸落ち」)を防ぐため、ライントラブルが低減します。
4)なめらかなドラグ性能と耐久性の実現「デュラクロス」
「デュラクロス」は新材料のドラグワッシャーで繊維を直交(クロス)させたものです。
上図はシマノの耐久テストの画像です。旧ストラディックのドラグワッシャーが摩耗する状況でも、新ストラディックのドラグワッシャーは無事でした。
その耐摩耗性たるや、従来品の10倍以上にアップしています。
この「デュラクロス」の素晴らしいもう一つのポイントは、なめらかなドラグ性能はそのままだということです。
いいとこどりの「デュラクロス」
耐摩耗性であればカーボンワッシャーが優れています。実際、大型SWリールではカーボンワッシャーが主流です。しかし、滑り出しの滑らかさはフェルトワッシャーに分があります。「デュラクロス」はフェルトながら繊維方向の工夫で耐久性をアップさせた点でいいところどりとなっています。
「24ヴァンフォード」の新機能のまとめ
「24ヴァンフォード」の新機能をまとめましょう。
- ギアの耐久性アップ(インフィニティクロス)
- 高負荷時の巻取り力アップ(インフィニティドライブ)
- ライントラブルの低減(アンチツイストフィン)
- ドラグ耐久性アップ(デュラクロス)
今回のアップデートは全体的にパワー系、耐久性向上を主眼としたアップデートが多かったです。
その中でも「アンチツイストフィン」はリールを巻いたり止めたり、ルアーをテクニカルに操作するシーンが多くなるヴァンフォードユーザーには相性の良いアップデートです。
インフィニティループ(密巻き機能)が搭載されかったのは、上位の「23ヴァンキッシュ」との差別化の意味で個人的に良かったとは思います。
初期ラインナップ
以下の通り変更がありました。
「C2500SHG」(ギア比6)が廃止されるかわりに「C2500S」(ギア比5)と「C2500SXG」(ギア比6.3)が登場し、注目を集めています。ギア比選択の幅が広がり嬉しい人も多いのではないでしょうか。「C3000」と「4000」は不人気なのか廃止です。
ボディサイズ
ボディサイズは3種類です。
人気のある番手が展開されています。
各モデルの発売予定時期
2024年 8月 | 2500S、2500SHG、C3000SDH、C3000HG、C3000XG |
2024年 9月 | C2000S、C2000SHG |
2024年 10月 | C2500S、C2500SXG、3000MHG、4000XG、4000MHG、C5000XG |
汎用小型(2500番ボディ)が最初に発売されて、次に小型(1000番ボディ)、汎用中型(4000番ボディ)と続きます。
「24ヴァンフォード」と「23ストラディック」を比較
次に、シマノの2つの中核機として比較されやすい「24ヴァンフォード」と「23ストラディック」の比較をします。
最初にざっくり違いをいうと、「24ヴァンフォード」は「23ストラディック」の「軽量、低慣性ローター版」です。
主な違いの一覧表
主な違いを一覧表にしてみました。
外観はかなり違いますが、メインギアは同じものを使用しています。
もともと、ヴァンフォードは「ストラディックCI4+」という名前でした。
価格は「24ヴァンフォード」のほうがやや高いです。
「24ヴァンフォード」が5000円高い原因は?
・ボールベアリングが1個多い
・ベールに高価なチタン素材が使用されている
ボールベアリングの違い
ボールベアリングが搭載されると、その部分の性能がアップします。
「23ストラディック」には基本的な箇所すべてにボールベアリングが搭載されています。隙がありません。
「24ヴァンフォード」ではさらに、ハンドルノブに1つボールベアリングが追加されます(下図)。
これによってより巻き心地がアップしています。
「24ヴァンフォード」は繊細なルアーフィッシングにさらに向いた機種なのです。
ボールベアリングの追加カスタム
ボールベアリングを追加できる場合もあります。
たとえば「23ストラディック」には「ハンドルノブ」にボールベアリングを追加して「24ヴァンフォード」化することができます。
「24ヴァンフォード」は超軽量!
C3000XG同士の重量を比較してみましょう。
「23ストラディック」は225gと決して重くはないのですが、「24ヴァンフォード」の自重は180gと圧倒的な軽さです。
シマノ汎用機で最軽量は「23ヴァンキッシュ」の170gで、それの次にくるのが「24ヴァンフォード」です(下図)。
ボディ素材の違い
「24ヴァンフォード」のボディの素材は「CI4+」製でシマノで最も軽量な素材となっています。
それに対して「23ストラディック」は剛性を重視したセッティングで、ボディでも特に負荷のかかるリールフット部分は「アルミニウム」製です。
なお画像では隠れていますが、「23ストラディック」のギアボックス側は「高強度樹脂」素材となっています(下図)。
「マグナムライトローター」とは何なのか
「24ヴァンフォード」は「マグナムライトローター」が搭載されている「MGLシリーズ」です。
※ミラベルには例外的に「CI4+製」だけの特徴を持つ廉価版「マグナムライトローター」が搭載されています。
マグナムライトローターの特徴1「軽量さ」
マグナムライトローターはとにかく「軽量さ」が特徴です。
軽量化のために随所に工夫が施されています。
ローター素材を「CI4+」製にして軽量化することを基本として、ラインローラー部の軽量化、ローター肉厚の最適化やベールを「チタン」製にすることで徹底的に軽量化を実現しています。
一方で「23ストラディック」のローターは「高強度樹脂」製であり、アルテグラやシマノのエントリーモデルの大半のスピニングリールと同等です。ベールもチタンより重い「ステンレス」が採用されています。
ローター組の重量比較です。
「24ヴァンフォード」と「23ストラディック」の2500SHGでは、ヴァンフォードのほうが約34%も軽量でした。
マグナムライトローターの特徴2「非対称な形状」
マグナムライトローターは「非対称な形状」も特徴の一つです。
「24ヴァンフォード」のローターを見ると、マグナムライトローター特有の非対称形状をしていることがわかります(下図)。
マグナムライトローターのねらいは「低慣性」
ローターが「軽量」で「非対称性」が高いほど、低慣性になり、ローターの回転が止まりやすくなります。
ルアーを繊細に操作する釣りでは、巻き出しが軽く、止めたいときにピタッと止まるこの低慣性なローターが活躍します。「24ヴァンフォード」はハンドルを動かしたり止めたりする機会が多い釣りに向いているのです。
一方「23ストラディック」はマグナムライトローターは非搭載の「コアソリッドシリーズ」です。軽量さよりも剛性やローターの慣性を利用したリールを巻くことが多い釣り(高速巻き、一定速度の巻きが多い釣り)で活躍するリールです。
ローターの慣性に関する実験結果です。
ローターが低慣性であればローターがある回転速度に至るまでの時間が短くなります。この実験では「23ストラディック」より「24ヴァンフォード」が39%も低慣性だということがわかりました。
「24ヴァンフォード」総まとめ
「24ヴァンフォード」はMGLシリーズの中核機、「23ストラディック」はコアソリッドシリーズの中核機種です。
最後にそれぞれの使い分けをまとめます。
どちらの機種も中核機だけにコスパが非常に優れていますので、用途にあわせて選んでみてください。
「23ストラディック」の記事はこちら
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