ダイワの「24セルテートSW」の4000~6000番が登場しました。
その特徴を知るために、今回は以下の3つの角度から見ていきます。
- SWリールの中での「セルテートSW」の立ち位置
- 前モデル「21セルテートSW」との違い
- 汎用「24セルテート」との違い
1.そもそも「セルテートSW」ってどんな機種?
ダイワのスピニングリールの中で「セルテート」という名前が付くリールは、「剛性が高い上位モデル」という立ち位置です。
汎用「セルテート」も大型ルアー用の「セルテートSW」でもそれは同じです。
技術特徴としては、2024年では「アルミ製モノコックボディ」+「ZAION製ローター」を特徴としたシリーズとなっています(下図)。
用語解説
モノコックボディ:ネジを用いない頑丈なボディ設計で、大型ドライブギアを収納可能。
ZAION(ザイオン):カーボンが多く含まれた頑丈な樹脂素材
2.前モデル「21セルテートSW」との違い
次に、「21セルテートSW」と「24セルテートSW」の違いを見ていきます。
見た目
配色は「黒+ガンメタ」が「黒+シルバー」に変わりました。
おもな新機能
「24セルテートSW」4000~6000番のおもな新機能は「エアドライブデザイン」の搭載です。
「エアドライブデザイン」は全部で4つの「エアドライブ」機能から構成されますが、そのうち3つが搭載されました。
- エアドライブローター
- エアドライブベール
- エアドライブシャフト
- ドライブギアの肉厚化
それぞれを解説していきます。
軽量・低慣性な「エアドライブローター」
「エアドライブデザイン」でもっとも重要なのが「エアドライブローター」です。
「21セルテートSW」では肉抜きデザインの「エアローター」でしたが、「24セルテートSW」では球体デザインの「エアドライブローター」に進化しました。
球体デザインのメリットは2つです。
1)球体は外圧に強い形状のため、剛性を維持しつつ軽量化が可能
2)球体はコンパクトな形状であり、慣性を抑えられる
これら2つの要素からローターが「低慣性」となりました。
低慣性なローターのメリットは以下のとおりです。
剛性も求められる「24セルテートSW」では、このエアドライブローターを番手ごとに設定を変えて特徴を持たせています。
・4000番と5000番:ローターが46%低慣性化、34%軽量化(操作性重視)
・6000番:ローター剛性が28%アップ(強度重視)
軽量な「エアドライブベール」
「エアドライブベール」はベールアームの小径化によって軽量化したベールです。
ダイワHPによると、「19セルテート」のエアベールに対して、2500番でベール直径3mmから2.4mmへ小径化して自重約1g(約33%)の軽量化に成功したそうです。
ベールが軽くなると、ローター全体が軽量化し低慣性になるため巻き出しが軽くなります。軽量化で気になるのは強度ですが、実釣に必要な強度は確保されてます。
「24セルテートSW」では、以下のように番手によってベール直径が最適化されています。
・4000/5000番:φ2.4mm(操作性重視)
・6000番:φ3.0mm(強度重視)
また、ベール傾斜角をラインローラーにつれて鈍角にセッティングすることでトラブルレス性が向上しました。
前傾仕様のベールアーム
メーカーHPでは触れていませんが、注目すべきはベールアームの角度がかなり急になっている点です。「23ソルティガ」からのデザインです。ラインがラインローラーまでうまく誘導されないトラブルが減りました。
エアドライブシャフト
「エアドライブシャフト」とは、メインシャフトまわりの円滑化システムです。
これによって低負荷時のノイズ低減、高負荷時のトルクアップを実現します。
ちょっと詳しい構造解説
スピニングリールはそもそも、「ハンドルの回転運動」を「スプールの上下運動」と「ローターの回転運動」に変換する道具です。
スプールを上下させる棒が「メインシャフト」で、ローターを回転させるギアが「ピニオンギア」です。下図のようにピニオンギア内部をメインシャフトが通る構造になっています。
従来のエアドライブシャフト「なし」の場合、メインシャフトとピニオンギアが直接接触するため、摩擦抵抗がかかる構造になります(下図)。
それに対して、エアドライブシャフト「あり」だと、以下の2つの工夫で摩擦抵抗を低減します。
1)メインシャフトをカラーで支持する
2)ピニオンギアをボールベアリングで支持する
これによりメインシャフトとピニオンギアがよりスムーズに動くので、主に高負荷時の巻きトルクがアップします。
ドライブギアの肉厚化
21セルテートSWと比べて、ドライブギアを最大約18%肉厚化しました(6000番)。
これにより、高負荷時のギアのたわみを約36%低減しています。
その他のアップデート
メーカーHPでは大きく取り上げていないマイナーアップデート箇所も見てみましょう。
- 防水性能アップ
- ツイストバスターが「Ⅱ」から「Ⅲ」に
- 番手の変更点
防水性能アップ
マグシールドがピニオン部とラインローラー部の2箇所に搭載されており防水性能が非常に高いセルテートSWですが、「24セルテートSW」では以下の箇所のアップデートでさらなる防水性能アップとなりました。
- ハンドル付け根の防水パッキン改良
- ボールベアリングがすべて「CRBB」に
ボールベアリングが10個すべて防錆性能が高い「CRBB」となりました(21セルテートSWではボールベアリング10個のうち9個がCRBB)。
ツイストバスターⅢ
「21セルテートSW」では「ツイストバスターⅡ」でしたが、「24セルテートSW」では「ツイストバスターⅢ」になりました。
ツイストバスターⅢでは、溝を設けることでラインローラー上の糸のバタつきを抑制しています。
番手の変更点
- 4000番や「5000-P」が追加
- 5000番が40g軽量化(385g→345g)
- 6000番のハンドル長が5mmアップ(65mm→70mm)
「24セルテートSW」のボディサイズは「SW4000/5000番」と「SW6000番」の2サイズです。
21セルテートSWでは「SW5000番」はSW6000番と共通ボディでしたが、今回の24セルテートSWではSW4000番と共通ボディになったので大幅な軽量化がされました。
「24セルテートSW」の番手選択の際は、以下のことを頭に入れて選択してみてください。
・SW4000/5000 → 操作性重視
・SW6000 → 強度重視
3.汎用「24セルテート」との違い
続いて、「24セルテートSW」と「24セルテート」の違いについて見ていきます。
見た目
見た目自体はほぼ同じで、前傾化したベールアームが目を引きます。
性能の違い
以下の箇所で違いがあります。
- ドライブギア:肉厚化、大型化、強度アップ
- ボディ:大型化
- エンジンプレート:肉厚化
- ローター:大型化・肉厚化
- メインシャフト:太径化
- ベール:マニュアルリターン、前傾化
- スプール:エアドライブスプール非搭載
細かくてややこしいですが、
要はほぼすべての箇所で「強度がアップ」しています。
それぞれを簡単に紹介します。
ドライブギアが肉厚化、大型化、強度アップ
リールの心臓部、ドライブギアが肉厚化、大型化しています。
また、ドライブギアの素材が「G1ジェラルミン」(NA700)になっています。「24セルテート」の「超々ジェラルミン」(A7050)と比べて強度が1.2~1.3倍になっていると考えられます。(素材の資料「日本軽金属ホールディングスプレスリリース」)
ボディが大型化、エンジンプレートが肉厚化
ドライブギアを収めるアルミ製フルメタルモノコックボディが大型化しています。さらに、エンジンプレートが肉厚化しており、高負荷時の力強い巻き上げ力がアップしています。
ローターが肉厚化・大型化
ローターの剛性も巻き上げに影響します。「24セルテートSW」ではZAION製のエアドライブローターが大型化、肉厚化してより頑丈になっています。
5000番の比較で剛性が39%アップとなっています。
メインシャフトが太径化
「24セルテート」よりメインシャフトが10%以上太径化して強度がアップしています。
ベールはマニュアルリターン、前傾化
キャスト時のベール戻りを防止するために、「24セルテートSW」ではマニュアルリターン方式になっています。また、前傾化したベールアームによってファイト時のベール戻りを解消しています。
エアドライブスプール非搭載
「エアドライブスプール」は、薄肉設計によって軽量化されたスプールです。
スプールの軽量化によって、操作性アップやドラグのレスポンス向上が見込めます。
さらに、ドラグ音量は下げず、作動抵抗がより低いドラグ音発生機構を持ちます(下図)。
「24セルテートSW」ではあえて強度重視でエアドライブスプールは非搭載となっています。
番手案内
以上のことから、番手の選択をする場合は以下の点に注意するといいと思います。
・軽量さ、操作性を重視したい・・・24セルテート
・剛性を重視したい・・・24セルテートSW
24セルテートSWでは、以下の点に注意してください。
・4000/5000番:軽量さ、操作性重視
・6000番:剛性重視
24セルテートの記事はこちら
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