「軽くて操作性の高い、頑丈なリールないかな?」
そうした疑問をお持ちの方におすすめなのが「24セルテート」です。
「セルテート」といえば、ダイワ汎用スピニングリールでは剛性の高さが特長の上級機種です。立ち位置は「質実剛健」。価格帯的にもシマノの「ツインパワー」シリーズと何かと似ているため比較されることが多い機種です。
「24セルテート」には、4つの「エアドライブデザイン」に加え、新たな機能が複数搭載されています。
本記事の前半ではその新機能について紹介します。
記事後半では、「23エアリティ」「24ルビアス」といった同じダイワ製汎用小型スピニングリールの最新機種との性能比較を行うことで、「24セルテート」の特徴とどのような人におすすめなのかをまとめます。
この記事を読めば、「24セルテート」のことについて手っ取り早く知ることができますよ。

(更新情報)2024年7月
「24ルビアス」発売にともない記事を更新しました。
新機能は「エアドライブデザイン」の搭載がメイン
「19セルテート」から「24セルテート」になって進化した部分はおもに以下の6点です。
- 1)エアドライブローター
- 2)エアドライブベール
- 3)エアドライブスプール
- 4)エアドライブシャフト
- 5)ATD TYPE-L
- 6)ギアやピニオンに対する特殊処理

このうち1)~4)までは「エアドライブデザイン」という設計によるものです。

シマノの「インフィニティ」
VS
ダイワの「エアドライブ」
新機能が満載で大変かもしれませんが、整理しながら順番に見ていきましょう。
1)軽量剛性化を実現「エアドライブローター(AIRDRIVE ROTOR)」
「エアドライブローター」は、剛性を維持しつつ軽量化されたローターのことです。

画像出典:ダイワ イグジストHP
この球体を意識したデザインによって、軽量化しても剛性は変わらないそうです。
軽量化によってローターが低慣性になるため、巻き出しが軽くなります。「スッと巻けてピタッと止められる」というルアーフィッシング上でのメリットが出ます。
「19セルテート」や「24セルテート」にはダイワ最高峰のZAION製のローターが採用されています。ダイワHPによると、従来の「19セルテート」のエアローターに対して、2500番のローターユニットで約16%軽量化して最大約16%の低慣性化に成功したそうです(数値は番手によります)。

シマノでは「マグナムライトローター」という低慣性ローターが搭載されている機種があります。
2)軽量化を実現「エアドライブベール(AIRDRIVE BAIL)」
「エアドライブベール」はベールアームの小径化によって軽量化したベールです。

画像出典:ダイワ イグジストHP
ダイワHPによると、「19セルテート」のエアベールに対して、2500番でベール直径3mmから2.4mmへ小径化して自重約1g(約33%)の軽量化に成功したそうです。
ベールが軽くなると、ローター全体が軽量化し低慣性になるため巻き出しが軽くなります。軽量化で気になるのは強度ですが、実釣に必要な強度は確保されているそうです。
また、ベール傾斜角をつけることでトラブルレス性が向上しています。

ファイト時に不意にベール返りしてしまうトラブルを減らしている。
画像出典:ダイワ 24セルテートHP

シマノは「アンチツイストフィン」でライントラブルを減らしましたが、ダイワの方法もいいですね。
3)軽量となった「エアドライブスプール(AIRDRIVE SPOOL)」
「エアドライブスプール」は、薄肉設計によって軽量化されたスプールです。

画像出典:ダイワ セルテートHP
スプールの軽量化によって、巻き出しの軽さやキャスト動作などの操作性アップ、ドラグのレスポンス向上が見込めます。
ダイワHPによれば、「19セルテート」のスプールに対して、ドラグ引き出し時のクリック音量は同等ですが、作動抵抗の低減を実現したそうです。

画像:ダイワHP

要は、1)~3)までは、すべて軽量化による進化です
4)巻き心地アップ「エアドライブシャフト(AIRDRIVE SHAFT)」
「エアドライブシャフト」とは、シャフトまわりの円滑化システムです。低負荷時のノイズ低減、高負荷時のトルクアップを実現します。

具体的には、メインシャフトを2つの高精度カラーで支持し、ピニオンギアを2個のボールベアリングで支持する構造のことです。

ピニオンギアは③④のボールベアリングで支持している。
画像:ダイワHP

「エアドライブシャフト」はシマノで言えば「X-SHIP」と「インフィニティドライブ」に相当する機能です。
5)ドラグが滑り出しが軽い「ATD TYPE-L」
「ATD TYPE-L」は「ATD」より滑り出しが軽くなったドラグです。

ダイワHP イグジスト
「ATD」と比べて「ATD TYPE-L」ではフッキング時等の瞬間的な引っ張りに対するドラグ値の上昇を抑えています。

ダイワHP イグジスト
そのためライトラインでの使用に適しているとのことです。

実機を触りましたが、滑り出しは滑らかでした。
6)ドライブギアの特殊表面処理と高強度ピニオン(大型番手)
「24セルテート」では、ドライブギアに特殊表面処理を施しています。さらに、大型番手には、高強度ピニオンの採用をしています。

画像出典:ダイワ セルテートHP
これにより、高負荷時のギアへのダメージが軽減されています。ダイワのリールで不安視されがちな、ごろつきがでにくくなりました。
アップデート箇所のまとめ
「24セルテート」の改良箇所をまとめましょう。
まずは、1)ローター、2)ベール、3)スプールの軽量化です。ルアー釣りにうれしい巻き出しの軽さ、操作性のアップがメインの改良です。
4)シャフト、5)ドラグ、6)ギア周りの改良は、魚がかかったあとの高負荷時に役立つ改良です。
すべてのサイズにとって全体的にバランスのよい改良だったと思います。
ラインナップは、FCLT2000~LT5000Dです。「質実剛健さ」が特長なだけに、LT5000-Cよりもさらにパワフルな5000番ボディのLT5000Dがあるのがポイントです。
「24セルテート」他のダイワ機種との比較
後半では、ダイワのリールの中で上級クラスで価格の近い「23エアリティ」「24セルテート」「24ルビアス」を比較します。
違いのある主項目は下表のとおりです。

それでは一つずつ違いを説明します。
ボディ素材
リールの剛性や重量を大きく左右するのはボディの素材です。
「24セルテート」のボディ素材はすべてアルミニウムです。
ダイワの素材比較グラフを見てわかるように、アルミニウムは剛性が高い素材です。

引用元 ダイワHP
これに対して、「23エアリティ」には軽量さも重視したマグネシウム素材が採用されています。素材の関係で価格もやや高いものとなります。
下位の「24ルビアス」には樹脂の「ザイオン」が採用されています。コストダウンが重視されています。

ちなみに、樹脂だから金属に比べて大きく劣っているわけではなく、ザイオンの剛性はマグネシウムと同等ながらマグネシウムより軽量とむしろ優れた素材です。
高強度ピニオンギア

画像出典:ダイワ セルテートHP
「23エアリティ」と「24セルテート」のドライブギアやピニオンギアはパーツが同じのものが使われています。
頑丈さが重視されており、「23エアリティ」のPC LT3000、LT4000、LT5000-Cのエクストラハイギア(XH)モデル、「24セルテート」のLT3000、LT4000-C、LT5000-C、LT5000のエクストラハイギアモデルにはソルティガにも搭載されている高強度のピニオンギアが搭載されています。
エクストラハイギアだとピニオンギアが傷みやすいことへの対策だと思われます。
マグシールド搭載箇所
「マグシールド」とは磁性オイル(マグオイル)を使って、水やホコリの侵入を防ぐ機構のことです。

出典:ダイワ マグシールド
ダイワによると、「故障が極端に少なくなる」ということです。
上図のボディとローターの間にある「ピニオン」部以外にも、「ラインローラー」「ドライブギア」にマグシールドが搭載される機種があります。
「23エアリティ」と「24セルテート」には、「ピニオン」部と「ラインローラー」部にマグシールドが搭載されています。

「ラインローラー」部分は特に傷みやすいので、「24セルテート」の質実剛健さをさらにアップさせる機能です。

※ただし、24セルテートのフィネスカスタム(FC)モデルはラインローラー部にはマグシールドが非搭載です。
ボールベアリング数
「24セルテート」に搭載されているボールベアリングの数は10個(ダブルハンドルモデルは12個)です。
ボールベアリングの数は多ければ多いほど性能はアップするのですが、その搭載個所も重要です。
「24セルテート」のボールベアリングの搭載箇所の内訳を見てみましょう。
まずは、基礎的な5箇所です。
- 1)ドライブギアの左右……2個
- 2)ピニオンギアの上下……2個
- 3)オシレーティングギア…1個

1)「ドライブギア」はハンドルの動きが第一に反映されるメインのギアです。ここにボールベアリングを搭載することで、全体の巻き心地を向上させることができます。
2)「ピニオンギア」はドライブギアの外側歯面に噛み合って、ローターを回転させるギアです。ここにボールベアリングを搭載することで、ローターの回転をよりスムーズに、高負荷時の巻取り力をアップさせます。
3)「オシレーティングギア」はドライブギアの内側歯面に噛み合って、スプールを上下させるメインシャフトの動きを生み出します。ここにボールベアリングを搭載することで、やはり高負荷時に巻取り力のアップに寄与しています。
「24セルテート」にはさらに、以下の箇所にボールベアリングが搭載されています。
- 4)ラインローラー…2個
- 5)ローターナット…1個
- 6)ハンドルノブ……2個

4)「ラインローラー」のボールベアリングは巻き取りのなめらかさをアップさせると同時に、ライントラブルを軽減します。
5)「ローターナット」のボールベアリングはピニオンギアの最上部を支持するカラーの外側に配置されています。これによって、ギアからローターへの回転パワーが伝わりやすくなりますので、巻き取りがより滑らかになります。
6)「ハンドルノブ」のボールベアリングはおもに低負荷時の巻きのなめらかさをアップさせます。ルアーのリトリーブ時に水中の情報を繊細に感じたい時に有効です。なお、「24ルビアス」ではハンドルノブは1個のみのボールベアリングとなります。
「23エアリティ」ではさらに以下の箇所にボールベアリングが搭載されています。
- 7)スプールの上にボールベアリング…1個

ちなみに、最上位の「22イグジスト」にはスプールの下にもボールベアリングが搭載されています。
スプールの上や下にボールベアリングを加えることで、より滑らかなドラグの作動を可能にします。繊細なドラグの作動が必要な釣りに必要な機能です。

この機能は、シマノでいえば「リジッドサポートドラグ」ですね
「24セルテート」は「タフに使う」という目的にかなったボールベアリングの搭載個所となっていることがわかります。
また、必要に応じて後からスプールの上下にボールベアリングを追加することが可能でイグジストと同じ12BB仕様にカスタムすることもできます。


CRBBって何?
CRBBはダイワの錆びにくいボールベアリングの名称です。エアリティやセルテートのBBはすべてCRBB仕様ですが、ルビアスではメインギアやハンドルノブは通常のBBが搭載されています。
ドラグシステム
すでに紹介したように「24セルテート」のドラグは「ATD TYPE-L」が搭載されています。瞬間的な力がかかったときになめらかにドラグが出ます。
加えて、「24セルテート」の大型番手(5000番)にはカーボンドラグワッシャーが採用されていて、より耐久性寄りのセッティング(ATDタフ)になっています。

【まとめ】 24セルテート はこんな人におすすめ
3機種の大雑把なまとめをしてみましょう。
23エアリティ | 24セルテート | 24ルビアス | |
---|---|---|---|
コンセプト | 軽量・繊細な釣りに | 剛性を求める釣りに | コスパ&耐腐食で様々な釣りに |
ボディ | マグネシウム | アルミニウム | ザイオン |
BB数 | 11 ※スプール上BB追加 | 10 ※ハンドルBB追加 | 9 ※ハンドルBB1個のみ |
一言でいえば、「24セルテート」は、よりタフな利用シーンで活躍するリールとなっています。
ボディがアルミニウムのモノコックであることがそのことを主張しています。大径ドライブギアの特殊表面処理、大型番手のATDタフドラグ、すべてがタフな状況で使えるよう手抜きされず搭載されています。
また、ローターがザイオン製で軽量低慣性な点はシマノのライバル機にない特徴です。
24セルテートは、とにかくタフな状況でテクニカルなルアー釣りでの使用を想定するなら積極的に選びたいリールとなっているのです。
製品ラインナップ

基礎巻き上げ力(トルクゲイン値)を強い順に並べると以下の通りです。
TG%(降順) | 番手 |
---|---|
49% | LT3000 |
46.9% | LT5000D |
46% | LT4000-C |
43.6% | FC LT2500S |
43.2% | LT2500-H |
43% | LT2500 |
40.7% | LT3000-CH |
40.5% | LT3000-XH |
39.3% | FC LT2000S-P |
39.3% | FC LT2500S-DH |
38.9% | LT5000D-XH |
38.1% | LT4000-CXH |
37.2% | FC LT2000S-H |
36.1% | FC LT2500S-XH |
35.9% | LT5000D-CXH |
TGが低いものは、巻き上げ速度重視の機種です。
トルクゲインの説明と計算ツールはこちら
「24セルテート」の人気番手
2025年5月 amazonでのレビューや評価から人気番手をランキングにしました。
人気順位 | 番手 |
---|---|
1位 | LT4000-CXH |
2位 | LT5000D-CXH |
3位 | FC LT2500S-XH |
4位 | LT3000-CH |
5位 | LT3000-XH |
6位 | FC LT2000S-H |
7位 | LT5000D-XH |
8位 | LT5000D |
9位 | FC LT2500S |
10位 | LT4000-C |
11位 | FC LT2000S-P |
12位 | LT2500-H |
13位 | FC LT2500S-DH |
14位 | LT2500 |
15位 | LT3000 |
巻き上げ速度重視の機種が人気ですね。
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