シマノ「24ツインパワー」はプロの釣人でも「ステラより使いやすい」ので愛用する人がいるほど、その性能はトップレベルの機種です。
機能が豊富なだけに「何がどう変わったのか、わかりにくい」「ステラなどほかの機種と比べて具体的に何が優れているのか」という人も多いでしょう。
そこでこの記事では、新ツインパワーに新しく搭載された機能を紹介・解説し、そのあとによく比較される機種(「22ステラ」、「23ストラディック」等)との比較をなるべくわかりやすくしていきます。
いいところ、イマイチなところも忖度なく書きますので、「24ツインパワー」を検討されている方のお役に立つと思います。
「24ツインパワー」に搭載された5つの新機能
「20ツインパワー」から「24ツインパワー」に進化して追加された機能は次の5つです。
- 1)インフィニティクロス
- 2)インフィニティドライブ
- 3)インフィニティループ
- 4)アンチツイストフィン
- 5)デュラクロス
横文字だらけでわかりにくいですね。順番にみていきましょう。
1)ギアの耐久性が劇的アップ「インフィニティクロス」
「インフィニティクロス」とは、新設計で耐久性がアップしたギアです。
ギアの接地面積を増やすことで、耐久性が従来品より2倍になりました。
シマノのギアはもともと耐久性が高いことで知られていますが、さらにゴロツキがでにくくなったということです。
インフィニティクロス(シマノ公式解説)
ギア歯面の設計・製造技術の進歩によりドライブギアとピニオンギアの噛み合う設地面積が向上。その結果ギアの歯面にかかる負荷をより広範囲へと分散することに成功。集中的にダメージを受けて損傷することを防ぎ、従来設計と比べて耐久性が約2倍(※)に向上しました。
※当社基準ギア耐久テストによる
出典:シマノHP
2)高負荷でも滑らかに巻ける「インフィニティドライブ」
「インフィニティドライブ」とは、高負荷時でも滑らかに巻けるシステムです。
具体的には、低摩擦のパーツを使うことで、スプールの上下運動を司る「メインシャフト」が高負荷時でもよりスムーズに動くようになりました。
大型魚とのファイトでも力強い対処ができます。
X-SHIPとの違いは?
ピニオンギアはローターの回転運動を担当し、メインシャフトはスプールの上下運動を担当するパーツです。これらのパーツの摩擦抵抗を減らせば、運動性能のアップが見込めます。「X-SHIP」ではピニオンギアをボールベアリングで支持することで、高負荷時のローターの回転をなめらかにしました。「インフィニティドライブ」ではメインシャフトを低摩擦ブッシュで支持することで高負荷時にスプールの上下運動をなめらかにしています。
インフィニティドライブ(シマノ公式解説)
これまでピニオンギアで支持していたメインシャフトを特殊低摩擦ブッシュで支持することで摺動抵抗を大幅に軽減し、さらにメインシャフト自体に特殊表面処理を施すことで回転トルクを低減。高負荷がかかった状態でも積極的に巻き上げられるリールへと進化しています。
シマノHP
3)”超”密巻きで飛距離アップ※「インフィニティループ」
「インフィニティループ」は、22ステラにも搭載されて話題になった“超”密巻き機能です。
ラインを密に巻くことで、キャスト時の放出抵抗が低減され飛距離のアップが期待されています。
また、着水後のフォールスピードが安定するというメリットもあります。
今回の24ツインパワーの目玉機能の一つです。
インフィニティループ(シマノ公式解説)
密巻きを超えた”超”密巻き。内部構造の進化により、スプールが上下動する速度を圧倒的に低速化。スプールにラインが1本1本整然と緻密に巻き付けられていくことで、ラインの放出抵抗を大幅に削減することに成功。抜けるようなキャストフィールやスムーズなラインの送り出しを実現しました。
シマノHP
飛距離アップ※、本当にするの?
メーカーの説明では「飛距離がアップしました!」とは明確に言い切っていません。
そこで、ユーザーのレビューを収集しました。2パターンに分かれ、1)アジング等軽いモノの飛距離テストでは差が出なかった。2)メタルジグ等重めのルアーでは10%程度の飛距離アップがあった。このように、実際に飛距離アップするかは使い方や状況にもよるようです。
4)ライントラブルを低減する「アンチツイストフィン」
「アンチツイストフィン」とはラインのたるみを抑えるパーツです。
糸がたるむとライントラブルの発生につながり、釣りの時間を減らしてしまいます。
ロングストロークスプールやインフィニティループと相性のよい、実用上とてもうれしい機能です。
隠れた名機能
しょぼいパーツに見えますが、「アンチツイストフィン」はかなり優れもののようです。密巻き機能は人によっては「ライントラブルになりやすい」と避ける人もいますが、この「アンチツイストフィン」のおかげで、かなりトラブルが低減され、むしろロングストロークではないダイワの機種より圧倒的にトラブルが少ないというプロもいるほどです。
アンチツイストフィン(シマノ公式解説)
ラインローラー部に近接するように弾性帯のフィンを設置。ラインのたるみを抑えることでスプール下部にラインが脱落する現象やラインがヨレたままスプールに巻き付けられる現象を軽減します。
シマノHP
5)なめらかなドラグ性能と高耐久の両立「デュラクロス」
デュラクロスとはなめらかなドラグ性能はそのままに、耐久性がアップしたドラグワッシャーです。
デュラクロス(シマノ公式解説)
デュラクロスは新材料によるドラグワッシャーを採用することで、耐摩耗性を10倍以上(※)もアップしました。ドラグの滑らかさが重視されるライトラインを使ったバスやトラウトフィッシング、ライトソルトなどから、予期せぬ大物と遭遇する可能性があるインショアやショアなどの幅広い釣りに対応します。
※当社比較テストによる
シマノHP
シマノの耐久テストでは、上記画像のように新しいドラグワッシャーの耐摩耗性が如実にアップしていることがわかります(画像は23ストラディックの例)。
フェルト製ワッシャーとカーボン製ワッシャー
ドラグの耐久性のアップには、カーボン製のワッシャーを使用するのが定石ですが、その分滑り出し性能が低下します。一方でフェルト製のワッシャーは滑らかな滑り出しが可能ですが、耐久性に劣ります。デュラクロスはフェルト製ながら耐久性の向上を達成したという意味で、優れています。
(補足)ボディは引き続き「半プラ」
前モデルの「20ツインパワー」では、ボディ部のリールフット側が金属でギアボックス側が樹脂(プラスチック)、いわゆる「半プラ」と言われ剛性に対する懸念から議論を呼びました。
「24ツインパワー」も前作に引き続き、負荷のかかるリールフット側は金属製(アルミニウム)であり、ギアボックス部のパーツは樹脂製のいわば「半プラ」です。
で、その剛性はいかほどか、が問題です。
以下に示されるように、「24ツインパワー」に使用されている樹脂はCI4+であり、通常の使用では十分なほど高い剛性があるそうです。
メーカーもそのことを意識して剛性の比較実験をしています。
Amazonレビューでも剛性についてはおおむね好評のようです。
24ツインパワー(シマノ公式解説)
ツインパワーはそのCI4+とアルミニウムをボディで組み合わせることによって高剛性を実現しています。CI4+のみのボディ設計であっても通常使用での剛性は十分実現しています。
シマノHP
しかし、ツインパワーが長年追求してきたのは実釣における過剰なまでの剛性。ボディで特に負荷のかかるフットにアルミニウムを採用することで、他のリールにはない過剰なまでの剛性を備えています。
「24ツインパワー」新機能のまとめ
「24ツインパワー」の新機能をまとめると、以下の通りです。
- ギアの耐久性のアップ(インフィニティクロス)
- 高負荷の巻取りトルクのアップ(インフィニティドライブ)
- 飛距離アップ※(インフィニティループ)
- 糸絡みの低減(アンチツイストフィン)
- ドラグ耐久性のアップ(デュラクロス)
機能で言えば、「22ステラ」と同等、最新機能を余すところなく搭載しています。
ツインパワーの質実剛健さをさらに向上させるアップデートといっていいでしょう。
初期ラインナップはC2000S~C5000XGで、最近のシマノの汎用スピニングリールと同じ範囲です。
Amazonのレビューも参考になります。
次のページでは、「24ツインパワー」とよく比較される「22ステラ」や「23ストラディック」等との比較をおこないます。
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