シマノのシーバスリールの最上位シリーズが「エクスセンス」です。
今回の「25エクスセンス」はシーバス釣りをしない多くの釣りファンにも衝撃を与えています。
その理由は25エクスセンスが「22ステラ」と「23ヴァンキッシュ」の合体のようなドリーム構成だからです。
この記事は以下の方におすすめです。
・「25エクスセンス」について詳しく知りたい方
・「最高のシーバスリール」を求めている方
・「ステラのMGLシリーズ版」があったらいいのにと思っている方
「25エクスセンス」はココが変わった
「25エクスセンス」について、様々な角度から見ていきましょう。
外観
まずは見た目の変化です。

画像はシマノHPを改変
エクスセンスは、2021年モデルも2025年モデルもどちらもカラーリング自体は「黒+シルバー」のカラーリングです。
系譜
前モデルの「21エクスセンス」は「19ヴァンキッシュ」をベースとするカスタム機でしたが、2025年モデルのエクスセンスは一味違います。
なんと、「25エクスセンス」のボディは「22ステラ」を継承し、ローターは「23ヴァンキッシュ」を継承しています(下図)。

画像はシマノHPを改変
実際、シマノのパーツリスト等を見ると、主要パーツが以下のように一致していることがわかります。
パーツ | 25エクスセンスとの一致部分 |
---|---|
ローター | 23ヴァンキッシュと同一デザイン、同一素材(CI4+) |
ボディ | 22ステラと同一デザイン、同一素材(マグネシウム) |
ドライブギア | 23ヴァンキッシュと同一パーツ |
ピニオンギア | 22ステラと同一パーツ |
ウォームシャフトギア・中間ギア | 22ステラ、23ヴァンキッシュと同一パーツ |
「22ステラ」と「23ヴァンキッシュ」のキメラが「25エクスセンス」なのです。

「専用機は汎用機のカスタム版」という最近の流れを変えた驚きの組み合わせです。
立ち位置
シマノの汎用小型スピニングリールは、ローター(回転する部分)の種類によって大きく2つのシリーズに分かれます。
- 「マグナムライトシリーズ」…低慣性のローターを搭載して操作系の釣りに最適
- 「コアソリッドシリーズ」…高慣性のローターを搭載して巻きの釣りに最適
「25エクスセンス」は23ヴァンキッシュのローターを継承するため、マグナムライト(MGL)シリーズです。
「25エクスセンス」はシーバス専用機ですが、仮に汎用機の中に加えると下図のような関係性があります。

「25エクスセンス」はコアソリッドシリーズ最上位の「22ステラ」のボディとMGLシリーズ最上位の「23ヴァンキッシュ」のローターを継承しているため、上から2番目のグレードに位置づけることができます。
25エクスセンスは「22ステラのMGL版」とも見れますし、24ツインパワーと25ツインパワーXDの関係性を見ると「25ステラXD」のような位置づけとなります。
汎用機と専用機の違い
エクスセンス等のシマノの釣種専用機は汎用機とは以下の2点が異なります。
・サイズ展開が限定的
・特殊なドラグを装備
下表はその一覧です。
シリーズ名 | 釣り方 | サイズ展開 | ドラグ |
---|---|---|---|
エクスセンス | シーバス | C3000M~4000M | ラピッドファイア |
ソアレ | アジング、メバリング | 500S~C2500S | ハイレスポンス |
セフィア | エギング | C3000S | ラピッドファイア |
コンプレックス | バス | C2500F4~2500F6 | ラピッドファイアorハイレスポンス |
カーディフ | トラウト | C2000S | エリア |
アオリスタ | ヤエン | 2500~4000 | ノーマル、リアドラグ |
エクスセンスシリーズは、シーバス向けのC3000M~4000MのサイズでPEライン1.2号~1.5号前後で使用することを前提とした仕様となっています。
また、「ラピッドファイアドラグ」を備え、従来よりも素早くドラグを調整することができます。

図:シマノHP
上図はラピッドファイアドラグにおいて、ドラグノブ1回転で約1kgから約2kgにドラグ値を上げることができることを示しています。一方で汎用機のドラグでは、ドラグノブ2回転を要します。
急にドラグ調整できる=繊細な調整が苦手になるので、釣り方によって善し悪しがあります。シーバスフィッシングにおいては、ラピッドファイアドラグでクイックにドラグを締め、障害物への突っ込みを止めるようなシーンで有効に使うことができます。

※「ハイレスポンスドラグ」とは、滑り出しが滑らかな細糸用のドラグです。「エリアドラグ」も細糸用の繊細なドラグです。
新機能等
「21エクスセンス」から「25エクスセンス」への主な進化点を見ていきましょう。

画像はシマノHPを改変
- 1)フルメタルボディ 【★目玉!★】
- 2)インフィニティクロスの搭載
- 3)インフィニティドライブの搭載
- 4)インフィニティループの搭載
- 5)アンチツイストフィンの搭載
- 6)デュラクロスの搭載

2)~6)は22ステラや23ヴァンキッシュなど上級機と同じ進化点です
加えて、以下の点に変化がありました。
・メーカー価格が16000円程度値上げ
・自重が5グラム増加
・巻き上げトルク比が若干アップ(平均1.2%)
これらの進化点・変更点をまとめると下表の通りです。

各項目について解説します。
1)ボディ剛性の大幅アップ「フルメタルボディ」
今回の目玉はコレです。
前モデル「21エクスセンス」では、ボディのリールフィット側はマグネシウム製で、ギアボックス側はカーボン混合樹脂のCI4+製でした。
「25エクスセンス」ではボディ部はすべてマグネシウム製となりました(下図)。

画像:シマノHP
これによって、ボディ剛性が大幅にアップし、高負荷時でも各駆動部のパワーロスが少なく、スムーズな巻き上げが可能となります。

難点は大幅なコストアップと若干の自重アップです。
2)ギアの接地面積増加で耐久性アップ「インフィニティクロス」
「インフィニティクロス」とはスピニングリールの心臓部であるドライブギアとピニオンギアの新設計です。

画像:シマノHP
新旧のギアの歯面の比較画像をみると、歯面がかなり長くなったことがわかります(下図)。

画像出典:シマノHP を改変
歯面が長い=接地面積を拡大したことで、ギアにかかる負荷が低減しました。
シミュレーションでは、インフィニティクロスのギアでは、耐久性が約2倍になったことが報告されています(下図)。

画像:シマノHP
3)よりなめらかな巻きを実現する「インフィニティドライブ」
「インフィニティドライブ」とは、スプールを上下させる棒(メインシャフト)をより滑らかに動くようにした構造のことです。

画像出典:シマノHP
具体的な仕組みは、次の2点です。
- メインシャフトを特殊低摩擦ブッシュで支持する
- メインシャフト自体を特殊表面処理や特殊加工する
「メインシャフト」はスプールを上下させる棒状のパーツです(下図の赤色部分)。

ここが滑らかに動作できると、高負荷時でもなめらかにスプールが上下するため、よりパワフルに巻くことができます。

「X-SHIP」と「インフィニティクロス」
「インフィニティクロス」と双璧をなす技術が「X-SHIP」です。

ピニオンギアの前後をボールベアリングで支持する構造のこと
画像出典:シマノHP
そもそも、スピニングリールは「ハンドルの回転」を「ローターの回転」と「スプールの上下運動」の2つの動きに変換する道具です。
・「ローターの回転」を滑らかにする…「X-SHIP」
・「スプールの上下運動」を滑らかする…「インフィニティクロス」
「X-SHIP」と「インフィニティクロス」の両方の技術により、さらなる巻きの滑らかさが実現できるのです。
4)”超”密巻きで飛距離とドラグ性能UP「インフィニティループ」
「インフィニティループ」は、スプールの上下運動(オシュレーション)をゆっくりにすることで、ラインを“超”密巻きにする機能です。

道糸が密に巻かれることで、ライン放出時の抵抗が大幅に低減されることがわかっています(下図)。

密巻きにより以下の3つのメリットが出てきます。
- キャスト時の飛距離がアップ
- 着水後のフォールスピードが安定、アタリが取りやすい
- ドラグ性能が安定する
ドラグ性能の向上については盲点でしょう。
以下のグラフはドラグに一定の負荷を掛けてラインを引き出した場合のラインテンションの変動を示しています。

画像:シマノHP を改変
インフィニティループを搭載した25エクスセンス(水色の線)のほうがグラフのギザギザ部分が少なく、滑らかにドラグが作動していることがわかります。

シマノの上級機に特有の機能
シマノの上級機には3つの特徴があります。「インフィニティループ」と「リジッドサポートドラグ」と「金属入りボディ」です。
5)ライントラブルを減らす「アンチツイストフィン」
インフィニティループによってラインの放出抵抗は劇的に低下します。
そのため、意図しないときにラインがパラパラと出てしまい、トラブルになるのではないかと気になります。それに対するシマノの対策の一つが、この「アンチツイストフィン」です。
「アンチツイストフィン」とはラインローラー下部の弾性体のフィンです。

これにより糸が脱落した状態(いわゆる「糸落ち」)を防ぐため、ライントラブルがかなり低減します。
6)耐摩耗性10倍のドラグワッシャー「デュラクロス」
「デュラクロス」とはなめらかなドラグ性能はそのままに、繊維の構造を変えることで耐摩耗性が従来の10倍以上にアップしたドラグワッシャーです。

画像出典:シマノHP
シマノの耐久テストでは、下記画像のように従来のフェルトワッシャーよりデュラクロスのほうが圧倒的に耐摩耗性が高いことがわかります。

画像出典:シマノHP を改変

ドラグワッシャーの素材
ドラグの耐久性のアップには、「カーボン」製のワッシャーを使用するのが定石ですが、その分滑り出し性能が低下します。一方で「フェルト」製のワッシャーは滑らかな滑り出しが可能ですが、耐久性が劣ります。「デュラクロス」はフェルト製ながら繊維をクロスして織り込むことで滑り出しはそのままに耐久性の向上を達成しました。
(おまけ)巻き上げトルク比がアップ
更に、「25エクスセンス」では巻き上げトルク比がわずかにアップしました。
以下は当サイトで計算した巻き上げトルク比の一覧です。
番手 | 21エクスセンス のトルクゲイン | 25エクスセンス のトルクゲイン |
---|---|---|
C3000MHG | 38.8% | 40.2% |
3000MHG | 40.2% | 41.1% |
4000MXG | 34.2% | 35.5% |
すべての番手で巻き上げトルク比(トルクゲイン値)が1%程度上がっていることがわかります。
これは、従来機と比べて1%程度パワフルに巻くことができる一方、1%程度巻き取り速度が低下していることを意味します。

巻き上げトルク比はなぜ上がった?
今回、巻き上げトルク比が上がった要因は、ギア比が下がった(6→5.8:C3000MHG、5.8→5.7:3000MHG)ことや、ハンドル長が長くなった(55mm→57mm:4000MXG)ことが関係しています(計算方法はコチラ)。
「25エクスセンス」のアップデートのまとめ
「25エクスセンス」の改良点を機能別にまとめましょう。
- ボディ剛性アップ(フルメタルボディ)★目玉!★
- ギアの耐久性2倍(インフィニティクロス)
- 高負荷時の巻取り力アップ(インフィニティドライブ)
- 飛距離アップ&ドラグ性能アップ(インフィニティループ)
- ライントラブルの低減(アンチツイストフィン)
- ドラグワッシャーの耐摩耗性が10倍(デュラクロス)
「25エクスセンス」はボディが「22ステラ」、ローターが「23ヴァンキッシュ」という組み合わせなので、それらのアップデート箇所が順当に全て搭載されているというわけです。
新旧エクスセンスで迷った場合は、新しい「25エクスセンス」がおすすめです。ボディがフルメタルという点だけでも「21エクスセンス」より明確に上です。
ただし、「密巻き」が不要な方や安価に購入できるという点では「21エクスセンス」を選ぶメリットもあります。
「25エクスセンス」のラインナップ
「25エクスセンス」はシーバスフィッシングにマッチする3ラインナップで登場です。
3つのラインナップのうち、ボディ・ローターともに2サイズの展開となります(下表)。

C3000MHGと3000MHG番ではスプールの付替えが可能。
シーバス用のオールラウンド番手「3000MHG」(4000番ボディに2500番ローター)を中心として、ボディサイズを落としたライト用「C3000MHG」、ローターサイズを大きくし、ギア比を高めた大物・遠投むけの「4000MXG」の3機種となります。
「25エクスセンス」の人気番手ランキング
発売前につき、実際のランキングは不明ですが、「23エクスセンスXR」のAmazonの評価・レビューを参考にした人気の番手は以下の通りです。
人気度 | 番手 |
---|---|
1位 | 3000MHG |
2位 | C3000MHG |
3位 | 4000MXG |
中間的な3000MHGが売れています!
「25エクスセンス」と他のシマノリールを比較
「25エクスセンス」と関係性の近い以下の5機種を比較してみましょう。
・「22ステラ」:コアソリッドシリーズの汎用最上位機
・「25エクスセンス」:マグナムライトシリーズ、シーバス専用機の最上位機(本機)
・「23ヴァンキッシュ」:マグナムライトシリーズの最上位機
・「25ツインパワーXD」:マグナムライトシリーズの上級機
・「24ツインパワー」:コアソリッドシリーズの上級機
まだ25エクスセンスの詳細な部分が完全には公表されていませんが、暫定で以下の違いがあります。

ドライブギアの同色:同一パーツを使用
このうち、専用リールならではの特徴「ドラグタイプ」や「サイズ展開」を除き、比較をしていきたいと思います。
22ステラとの違い
大きな違いは、ローターです。22ステラはコアソリッドシリーズであり、頑丈な金属製のローターを搭載しています。対して25エクスセンスは軽量低慣性のCI4+製のローターを搭載しており、操作性に特化しています。
また、25エクスセンスではウォームシャフト下部の支持パーツがブッシュとなっているため、ステラよりもボールベアリングが1個少ないです。さらに、ステラのみドライブギアに特殊表面処理が施されており、耐久性が高くなっています。
(未確認)
他にもラインローラーの特殊表面処理がDLCであったり、金属製ドラグノブなどステラにだけ搭載されており、ステラ独自の特殊仕様があります。

22ステラが向いている人
高速巻きや定速巻きをする釣り方、ローターの剛性が必要な釣りをする人。12ボールベアリングの最高の巻き心地が欲しい人、耐久性が欲しい人。

23ヴァンキッシュとの違い
大きな違いは、ボディです。23ヴァンキッシュは軽量さを重視しており、マグネシウムとCI4+のハイブリッドボディであることに対して、25エクスセンスはステラ譲りのフルマグネシウムボディで剛性を重視しています。
(未確認)
他にも、23ヴァンキッシュのスプールリングはアルミ製であったり、C5000XG以外のハンドルがCI4+製で軽量さを重視したモデルとなっています。

23ヴァンキッシュが向いている人
とにかく軽量さが欲しい人

25ツインパワーXDとの違い
25ツインパワーXDとの違いは、まずボディです。25ツインパワーXDがアルミニウムとCI4+のハイブリッドボディである一方で、25エクスセンスはフルマグネシウムボディです。
また、25ツインパワーXDではウォームシャフト上の支持部にブッシュが用いられています。25エクスセンスのほうが高付時の巻き心地は特に上回ります。
25ツインパワーXDにはラインローラー部にNewXプロテクトが用いられており、ラインローラー部の耐久性についてはより高いものとなっています。25ツインパワーXDでは、ハンドルノブがすべてラウンドノブ仕様になっているのも特徴です。

25ツインパワーXDが向いている人
防水性能が高いラインローラーが欲しい人。巻き心地が多少落ちてもよい人。どちらかと言えばショアジギングやサーフをメインとしたい人。

24ツインパワーとの違い
24ツインパワーとの違いは、かなり多いです。24ツインパワーはボディはアルミニウムとCI4+のハイブリッドボディである一方で、25エクスセンスはフルマグネシウムボディです。
24ツインパワーはコアソリッドシリーズであり、22ステラ譲りの慣性の高い金属製ローターを搭載していますが、25エクスセンスでは低慣性のCI4+製マグナムライトローターとなっています。
24ツインパワーのほうがボールベアリングが2個少ないですが、それは、ツインパワーのウォームシャフト上の支持部にブッシュが用いられていることと、ローターナット部にカラーが用いられているためです。

24ツインパワーが向いている人
高速巻きや定速巻きの釣り方がメインの人。巻き心地が多少落ちてもよい人。金属製ローターを要する大物釣りをする人。

25エクスセンスが向いている人
最高峰のシーバス専用リールが欲しい人は25エクスセンスを買うべきでしょう。いつ買うのがいいのかというと、「今すぐ」です。というのは、シマノのリールの中で、シーバスフィッシングにおける25エクスセンスの優位性は当分変わらないからです。仮に2026年1月に「26ステラ」が発表されても、それはコアソリッドシリーズでしょう。次に他リールが勝る可能性があるのは、2027年1月に発売される可能性のある「27ヴァンキッシュ」です。これが25エクスセンスと同じ「フルメタルボディ」の場合、そちらのほうがより優れている可能性があります。
また、25エクスセンスは22ステラや23ヴァンキッシュの教訓を経たうえでそれらのデザインを継承していますので、初期不良が少ないと思われます。
25エクスセンスはシーバス専用リールですが、4000MXGを買ってショアジギングやサーフで使う手も大いにアリだと思います。その場合、ハンドルノブが好みでなければラウンドノブに換装して使いましょう。