近年、ダイワやシマノから、比較的安価な価格帯(1万円~2万円)で、よさげなタモの柄が出てきましたーーマルチランディングシャフト(シマノ)とマルチランディングポール(ダイワ)です。今回はこの名前が似通った2製品を比較しながら紹介します。さらに、最も人気の高いランディングポールⅡ(ダイワ)との違いも紹介します。
安いタモの柄の不満点
格安タモの柄(ランディングシャフト、ランディングポール)の主な不満点は、重くてシャキっとしていないので魚を掬いにくい点です。これはカーボンの質や含有率が低いためにおこることです。
安い価格帯でもカーボン含有率が高いタモの柄もありますが、多くは海外メーカー製でポールの出が悪かったり、尻栓が壊れやすかったり、細かな不満点がでるものも散見されます。
タモの柄は釣り竿ほどとっかえひっかえ使い比べるものではないので、一度買ったら数年同じものを使う人も多いでしょう。海外メーカー製より若干高くても、ここは国内メーカー製の信頼感に頼るのも一手かと思います(もちろん海外製でもいいものはたくさんあります)。
マルチランディングシャフト(シマノ)
まずはシマノのマルチランディングシャフトから。
メーカーのHPからタモの柄の特徴をまとめると以下の通りです。
注目すべきは軽さ!
この価格としてはめちゃくちゃ軽いタモの柄です。
なお、口ゴム脱落防止のキャップが付属しますが、肩ベルトは付属しないので注意です。
マルチランディングポール(ダイワ)
お次はダイワのマルチランディングポールです。こちらのほうが新しいです。
簡単に、特徴をまとめると以下の通りです。
格安で人気のダイワ「ランディングポールⅡ」のカーボン含有率を高くしたような印象の製品です。
シマノのマルチランディングシャフトより重いのですが、「高剛性」とうたっているので、大型魚を対象とした人は安心ですね。
スペック比較
ダイワのマルチランディングポール、シマノのマルチランディングシャフト、かなり似通った商品に見えます。
最後に、比較しやすくするために、スペックを並べて表にしてみました。
なお、格安のタモの柄として人気のランディングポールⅡ(ダイワ)も並べてみました。
各項目の見方もカンタンに紹介します(言わずもがな、かもしれませんが)。
【全長】足場に合わせて選ぶ
タモの柄の全長は自分が使う足場の高さに合わせて選択します。3m台のタモの柄は淡水など足場の低い場所用です。堤防用では5mが基準で、足場の高い堤防は6m程度を使います。
ダイワが3、4、5、6mというラインナップなのに対して、シマノのランディングシャフトは、3.5m、4.5mと5.5mというラインナップになっています。
迷ったら長めの柄を買えばいいですが、長すぎると重くなるのですくいにくくなるので注意です。初めての1本を選ぶときは、事前に干潮時に釣り場に行ってどの長さならすくいやすいか長めの釣り竿でシミュレーションすべきです。
【継数】少ないほうが耐久性が高い
継数は、タモの柄が何本の筒で構成されているかを示しています。節が多ければそこが弱点になりますので、弱くたわみやすくなります。
シマノの4.5mと5.5mは8本継ぎですので、ダイワの5m、6mより1本少ない継数となります。
【仕舞寸法】収納のコンパクトさ
仕舞寸法は収納の際にどれくらいコンパクトになるかを示します。一緒に持ち運ぶ竿のほうが通常は長い仕舞寸になるのであまり気にする必要はないとは思います。
【標準自重】軽いとすくいやすい
軽いほどコントロールしやすく魚をすくいやすくなります。
シマノのマルチランディングシャフトは4.5mで308gです。非常に軽いです。一つ上のボーダレスランディングシャフト(4.5mで322g)より軽くなっています。軽すぎて耐久性はどうなんだろう、と心配になるほどです。
ダイワのマルチランディングポールはこれと比べるとかなり重い(5mで525g)ですが、安いタモの柄としては標準的な重さだと思います。
【先径/元径】太いほうがたわみにくい
タモの柄の先端部の細さが先径で、持ち手側の細さが元径です。同一素材なら太いほうがたわみにくいのですくいやすくなる傾向があります。ただし、元径が太すぎると持ちにくいという人もいます。
ダイワのマルチランディングポールもシマノのマルチランディングシャフトも先径はまあ、だいたい同じです。シマノのほうが少し細いですが、そこまで気にするほどでもないのかなと思います。比較対象のダイワのランディングポールⅡはやや細いですね。たわみやすいと推察されます。
【カーボン含有率】高いほうがたわみにくい
カーボンがどれくらい使われているかがカーボン含有率です。カーボンが増えれば、シャッキリとした、しなりにくくすくいやすいタモの柄になります。
シマノのマルチランディングシャフトもダイワのマルチランディングポールもカーボン含有率は95%以上とかなり高いです。比較対象のダイワのランディングポールⅡは50%前後と低いので、たわみやすいと推察されます。
カーボン含有率は繊維素材のカーボンの割合です。たとえば、「カーボン含有率70%」なら繊維中カーボンは7割で、他3割はだいたいグラス繊維になります。注意すべきは、接着剤として使われる樹脂は関係ないということです。ですので、カーボン95%でも樹脂が多いものは重く頑丈ですがだるい感じに、樹脂が少ないものは軽く脆いですがシャキッとした感じになります。
まとめ 個人的選び方
以上、見てきたように、シマノのマルチランディングシャフトもダイワのマルチランディングポールも似た点も多いです。大きく異なる点は軽さです。シマノのほうが圧倒的に軽いです。
継数、径などから見ても、シマノのマルチランディングシャフトは上位機種と同様、相当すくいやすいタモの柄になっていると思います。ただ、気になるのは、耐久性です。Amazonレビューにて大物等が釣れたときの折れの報告が散見されました。
手を出しやすい価格の商品では、多くの入門者も手にします。そのため扱い方のまずさからくる「折れ」の報告も多いと推察されます。
個人的には、今回の「マルチランディング」バトルは、チヌ等をメインにする場合はシマノ製、青物狙いなら重いけれど剛性をウリにしているダイワ製かなーと思います。
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