“魚に見えないピンクフロロ”がデュエルから発売されました。今回はその情報を整理したうえで、実際に購入した商品の印象をお伝えします。
デュエルの”魚に見えないピンクフロロ”の水槽実験
デュエル(DUEL)のTwitterに投稿された動画をご覧ください。
【衝撃映像】
— DUEL (YO-ZURI) (@DUEL_jp) June 15, 2023
ヤバいラインできました#DUEL #デュエル#メバル #クロ #グレ #メジナ#マリンワールド#乞うご期待
撮影協力:海の中道マリンワールド 様 pic.twitter.com/cigkwAdtwr
人間の目には釣り糸が縦に張られていることがわかります。
しかし、魚にはまったく感知できていないようで、糸に当たった魚(メバル、メジナ)は驚いています。メバルやメジナは目がいい魚としても有名ですので、これは驚きです。
2つ目の動画です。
【衝撃映像】
— DUEL (YO-ZURI) (@DUEL_jp) June 22, 2023
続・ヤバいラインできました
従来ラインと比較した映像を公開。
※どちらも24号80Lbs.の極太ラインでテストしています
撮影協力:海の中道マリンワールド 様#DUEL #デュエル#マダイ #ヘダイ #イサキ #チカメキントキ#マリンワールド#乞うご期待 pic.twitter.com/A0h2w5H7YG
こちらは、従来の糸と新開発の糸の比較です。
水槽に24号相当の糸が2本張られていて、魚(マダイ、ヘダイ、イサキ、チカメキントキ)の反応を見ています。
魚たちは右側の糸(従来)の存在には気づいていて、事前に回避するか糸を食べようとさえしています。しかし、左側の糸(新開発)には、魚たちは気づかずに触れてしまい、驚いています。
人間の目には、左側の糸のほうが見やすく感じます。とても不思議な糸です。
それぞれの糸に触れた回数をカウントして集計してほしいところです。
魚に見えない仕組み
詳細はデュエル公式HPで説明されています「魚に見えないピンクフロロ」。
基本のアイデアは、サンラインのSV-Iと同じで、青色緑色に特化した視覚能力を持つ魚に見えにくくするために、赤系の色を採用しています。
太陽の光に含まれる可視光線 (目に見える光) は大きく分けて7色 (赤・橙・黄・緑・青・藍・紫) に分けられており、海水魚では調査された54種類のうち、赤色 (600nm以上) に感受性を持っていたのは僅かであり、殆どの魚種は青色と緑色 (440~570nm)※1 の感受性しか持たないことが分かっています。
デュエルHP魚に見えないピンクフロロ
この図は、海水魚の網膜錐体細胞の色の感受性を調べ、魚種ごとにヒストグラムにしたものです。調査対象となった海水魚の中でオレンジ~赤の感受性を持つ種は5種にすぎません。その一方で多くの海水魚で青~緑~黄色(図中の黄色の範囲)の感受性を持つことがわかります。
注意したいのはこれは海外の調査であるため日本の魚種に直接当てはまるかどうかは議論の余地がある点です。また、これは淡水魚では異なることに注意です。淡水では下図のように、赤色系統の色を見る感受性を持つ種が多くいます。
デュエルの糸のよく考えられている点は、単なるピンク色ではないということです。海水魚が見やすい青、緑、黃色をカットする糸を目指すことで、糸のステルス性をアップさせようというわけです。
魚は釣り糸を透過した光と反射された光が混ざった状態で視覚に捉え、色彩や明暗として認識しています。また、魚がラインをシルエットとしても認識していることを考えると、
カラーフィルター効果と透明性を兼ね備えた性能であることが重要と考えられます。“魚に見えないピンクフロロ” は魚が感知する特定の範囲の波長を幅広くカット(吸収)
するだけでなく、透明性も兼ね備えた独自のカラーフィルター機能搭載ラインです。“魚に見えないピンクフロロ” は一般のピンクラインと比べ、魚が感知する波長範囲を幅広くカットすることにより人の目にはピンクの色のままで見やすく、魚に対しては独自のカラーフィルター効果で“魚に見えない”ラインを実現しました。
デュエルHP魚に見えないピンクフロロ
製品ラインナップ
ラインナップは以下の6種です。
万能ハリス、船ハリス2種、磯ハリスとショックリーダー、プロ用と、すべて海水魚用のラインナップになっています。赤色も得意な魚種が多い淡水魚には向かないという理由からだと思います。
それぞれの違いについては詳しく言及されていなので、あまり変わらないのかもしれません。スプールサイズが違うくらいです。
実際に買ってみた
“魚に見えないピンクフロロ”と手持ちの魚に見えにくいことを謳った製品と色の比較をしてみます。
今回比較するのはサンラインのSV-I、デュエルの魚に見えないピンクフロロ、ダイヤフィッシングのジョイナーで全て6号です。
魚に見えないピンクフロロは、SV-Iと比べてピンク色感は控えめです。SV-Iはどちらかといえばショッキングピンクに近いピンクですが、魚に見えないピンクフロロは薄いピンクといった感じで、茶系のジョイナーとも似ています。
紫の光とオレンジの光を足すとピンク系の光になります(色の混合について実験したい人はこちら「混色計算」が便利です)。説明の通り、カラーフィルターで紫とオレンジを透過させた結果、この色が出ているんですね。
ついでに、紫外線のライトで照らしたときの見え方を見てみましょう。
上のサンラインSV-Iと真ん中の魚に見えないピンクフロロでは、色味がかなり異なることがわかります。
紫外線ライトを当てると、SV-Iはピンクのままですが、魚に見えないピンクフロロは白っぽい色になりました。
このことからも、ピンク色がそれぞれ異なった成分で構成されていることがわかります。
サンライン公式のインスタグラムの説明では、SV-Iは特に550~560nmの波長の光を吸収する特性を持つ糸だそうです。つまり、魚が特に特異な波長の光を吸収するということに特化するためにピンポイントで吸収する帯域を絞り込んでいるようです。
対して、魚に見えないピンクフロロでは、より広い帯域の光を吸収する仕様だということで、その差が気になるところです。釣果にはどれくらい影響するのか、気になるところです。
私は普段透明色のハリスしか使いませんが、せっかく買ったので追々調べていきたいと思います。皆さんの使用感も教えてください。
なお、「見えない釣り糸は効果がある?釣り糸論争を整理しよう」で理屈をまとめています。
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