堤防からブリなどの青物やヒラメ狙いで活躍する「エレベーター仕掛け」ですが、「エサが思ったように潜っていかないこと」でお悩みの方が多いのも事実です。
実は、エレベーター仕掛けでは、コツさえ押さえればほとんどの場合、簡単にエサを潜らせることができます。
今回は、筆者が実際に試して効果のあったワザを厳選して9つ紹介します。
実際に身近な堤防で試して効果のあった普通の方法ばかりなので、エサが潜らないことで悩んでいる人はぜひ試してみてください。
基本ワザ1:道糸はナイロンを使う
道糸のおすすめは断然ナイロンラインです。ナイロンラインは表面が滑りやすい素材のためスナップ部分がよく滑り、エサの移動を妨げにくくなります。
ショアジギングなどルアー釣りを主とする方はまずはPEラインでエレベーター仕掛けを組む人も多いでしょう。PEラインでも釣れなくはないのですが、ナイロンに比べると相当やりにくいです。PEラインは撚り糸なので糸表面の摩擦抵抗が大きく、仕掛けのスナップ部分の滑りがよくないのです。
表面の拡大図を見たら一目瞭然ですね。PEはざらざらして滑りにくく、ナイロンはつるつるしていて滑りやすいのです。実際に手に取るとその違いは明白です。
ナイロンの中でもより「滑りやすさ」を追求するなら糸グセがつきにくい「しなやか」なもので、細めの糸を選んだほうがいいです。コイル状の糸グセがあると、スナップが滑りにくく、エサが潜っていきにくくなるのです。
糸についての詳細は以下の記事をご覧ください。
基本ワザ2:オモリを選んで道糸を張る
アタリ待っているときに、道糸をだらんとたるませていませんか?
糸が途中でたるんでいるとそこで仕掛けのスナップがとまってしまいます。
道糸をピンと張ることで、エサをスムーズに送り込むことが可能となるのです。
特に道糸に太糸を使うこの釣りでは、糸の表面積が増えるために流されやすく「糸を張ろうと思っても張れない」ことになりがちです。
道糸を十分に張るには、重くて海底に止まりやすい形状のオモリを選ぶことが大事です。
軽いオモリや転がりやすいオモリだと、少しの海流や風の影響で踏ん張りがききません。
オモリには様々な種類がありますが、だいたいエレベーター仕掛けで使うオモリはスパイク、六角(小田原)の2択です。まれにホゴオモリを持っておくと便利なときがあります。
おすすめは、重さが25~30号の「スパイクオモリ」です。スパイクオモリは形状が複雑なぶん、同じ重さでも海底にとどまりやすいです。
スパイクオモリの次に海底にとどまりやすいのは「六角オモリ」です。こちらはスパイクよりシンプルな形状で先方に重心があるので、特に飛距離を優先させたい場合に使います。
海底に引っかかりにくくいのは「ホゴオモリ」です。転がりやすいのであまり登場シーンはないのですが、スパイクや六角でどうしても根掛かりが多発で釣りにならないような場所で使用します。
オモリの重さは?
通常、25号~30号を持っておけば間に合うことが多いですが、海流が激しい場所や強風のときは、35号~40号といったかなり重量級のオモリも必要になってきます。
重量のあるオモリは、竿によっては竿の負荷を超えて破損につながるケースもあるので、事前に竿の負荷をよく確認してくださいね。
基本ワザ3:道糸の角度をつける
オモリを投げて道糸を張っても、その張り方にもコツがあります。
道糸の角度が浅すぎるとエサは潜りにくくなります。
道糸の角度をつけるには、1)長竿を使う、2)遠投しすぎない、3)高い足場から釣りをする、4)竿をなるべく垂直に立てるといった方法があります。
これらは、釣り場によっては実践できないこともありますし、実践しないほうがいい場合もあります。
たとえば、遠投が必要なときは遠投を優先させて、エサを潜らせるためには他のワザを使うことをおすすめします。
竿をなるべく垂直に立てる
海釣り公園等の手すりがある場所でポピュラーな方法を紹介します。
第一精工の「スーパーパイプ受け太郎」や百円均一で購入できる「ソフトワイヤー」を使って竿受けを作り、竿尻を水くみバケツやバッカンに当てることで、なるべく竿を垂直に立てることが可能です。
「スーパーパイプ受け太郎」はパイプに水平状態に取り付けるものなので、垂直状態の竿とリールは基本的にホールドできませんので注意してください(折り畳み部分がリールや竿の重さで畳まれて下がってしまう)。デフォルトでは斜め45度くらいのホールドであれば可能です。
基本ワザ4:エサの送り出し方
なるべく海面に糸をつけない
基本ワザ2の「糸を張る」ことと共通しますが、オモリを投げたあと、エサのついた仕掛けを道糸に付けるまでの間も海面に道糸をなるべく張っておくことは大事です。
ルアー釣りに慣れた人なら特に、ついつい道糸を海面につけたくなるのですが、それだと糸が海中に沈んでしまい、いざエサを送り出そうと道糸を張っても手前からエサがスタートすることになります。
なるべく糸を沈ませないように意識するだけで、一度道糸が海面にとられたとしても、道糸を空中にはね上げるように竿を操作すればパッと道糸が空中に跳ね上がり、エサのついた仕掛けを沖に送り出すことが可能となります。
竿先を高く掲げトントンと竿を叩く
エサを投入した後、エサをなるべく沖に誘導するために竿先を高く掲げ、仕掛けを揺らします。このとき、竿尻等をトントンと叩くのが主流の方法です。スナップ部分が振動で沖へ進んでいきますし、振動に驚いたエサも泳いで沖に泳いでいってくれます。
基本ワザ5:ハリスを短めにする
ハリスが長いと仕掛け投入時にエサが手前で着水してしまいます。
ハリスが短いとスタート地点が沖になるので、それだけ沖に送り出しやすいです。
ハリスが短いと食いが落ちると心配になりますが、あまり気にする必要はないです。この手の釣りはフカセ釣りやカゴ釣りのように刺し餌と撒き餌の同調を求められる釣りでも無いですし、活き餌を使う釣りでは活き餌のパワーで魚の仕掛けへの警戒心がかなり和らぐようです。
エレベーター仕掛けの場合、60~80cmの短めのハリスでも食いがあまり変わりません。むしろ、短ハリスだとエサが違和感を感じて暴れるためか、食いが良くなることもあるくらいです。活性が高くヒットが連発するときにはぜひ試してみてください。糸絡みも減ります。
活エサを使った泳がせ釣りでのハリスの長さは標準で1ヒロ(1.5m)前後です。セオリーは、潮が速いor活性が低いときは活餌への負担をなくすために長めのハリス、潮が遅いor活性が高いときは活餌への負担を減らし糸絡みを減らすために短めのハリスを使うのが基本です。
基本ワザ6:エサを背掛けにする
エサの付け方は、背掛けにすると特にアジをエサにした場合潜りやすいと言われています。魚は抵抗と逆に泳ぐ性質がありますので、背中側にテンションが掛かることでその逆の海底方向へ泳ぎたくなるのかもしれません。
ちなみに、アジの背掛けのポイントは、第一背びれの前とされています(図は魚体中央ですがもっと前です)。アジが泳ぎやすいようです。
以上、基本ワザは今まで通りのエレベーター仕掛けで実践できるものばかりです。これで多くの場合効果が見られるはずです。
それでもエサが潜らない場合に、次ページでは仕掛けやエサに一手間加える応用ワザを紹介します。
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