遠投のための基本ポイントあれこれ

釣りのりくつ

仕掛けを遠投すると、遠くのポイントを探ることができたり、メリットがたくさんあります。
今回は釣りで遠投したいときのポイントを整理します。

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竿先の速度を上げる

1つ目のポイントは竿先の速度を上げることです。竿先の速度、つまり投げる仕掛けが速く動けば、それだけ遠くに飛ぶポテンシャルが上がります。

竿は長ければ遠くに飛ぶわけではない

竿先の速度を上げるには、まず単純に竿を速く振ることが思いつきます。ゆっくり竿を振るより、速く竿を振るほうが仕掛けが遠くに飛ぶというわけです。力持ちのほうが遠くにものを飛ばすことができる、ごくごく当たり前のことですね。

最初から最後まで全力で竿を振れば竿先速度が最大になるかといえば、そう単純でもありません。一定の速度で竿を振るのではなく、瞬間的に速く竿を振ることが肝要です。瞬間的に竿を速く振ることで、竿を曲げることができます。竿が十分に曲がった状態からまっすぐに戻ろうとする力を利用することで、竿先速度はさらにアップします。最近細竿が人気なのは、スイングスピードを上げて竿を曲げやすいからです。

竿の長さについても考えてみましょう。仮に同じ速度で竿を振ることができれば短い竿より長い竿のほうが、竿先の速度がアップしますから、仕掛けをより遠くに飛ばすことができます。

ただし、現実には竿が長いと重さや空気抵抗がアップし、それだけ竿を速く振ることができなくなります。そうなると竿が曲がらなくなり、竿先速度が低下し、遠投ができなくなります。このように書くと「短い竿のススメ」に見えますが、そういうわけではありません、短すぎる竿は曲がる部分が少なくなりますので、飛距離は落ちます。遠投には自分の投げる仕掛けの重さと腕力にあった適切な竿を選ぶ必要があるのです。そのキーは、いかに竿をたくさん曲げられるか、です。

投げ竿の場合、長さは4メートルを標準として作られています。平均的な身長と筋力を持つ男性であれば、4メートル程度の投げ竿を選ぶと最も仕掛けを飛ばしやすいということです。さらに、投げ竿ではどれくらいの重さの仕掛けを投げるかで細分化されています。たとえば、30号のオモリを投げるなら4メートルの30号竿を選ぶといった具合です。

カゴ釣りの遠投竿の場合、6メートル程度の長竿に両軸リールを組み合わせるセッティングが人気です。太めのナイロン糸を使い、カゴのように抵抗の大きいものを飛ばしたい場合は参考になります。試投会で飛距離159メートルを記録しています。

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仕掛けは重ければ遠くに飛ぶわけではない

先にも少し触れましたが、遠投に適した仕掛けの重さを考えてみましょう。想像すればわかることですが、仕掛けは重ければ遠くに飛ぶものでもないです。ピンポン玉より重い野球ボールを遠くに飛ばすことは容易ですが、それより重い砲丸は遠くに飛びません。釣り人の筋力と竿のパワーに適合した重さの仕掛けを選ぶと遠くに飛ぶのです。竿に対して仕掛けが重すぎると、竿が負けて反発力を発揮できないため、遠くに仕掛けが飛びません。繊細なアジングロッドで30号のオモリを遠くに飛ばすことができるでしょうか。逆に、太い投げ竿に1.5グラムのオモリをつけても、アジングロッドほど遠くに飛ばすことができないのは想像に難くないでしょう。

タックルは軽く

先にも触れましたが、竿やリールなどのタックルは軽くなればなるほど遠くに飛ばしやすくなります。単純に竿のスイングが速くなりますので、竿がよく曲がり、射出速度もそれだけ上昇するからです。軽いタックルほど高級品だったりします。品質を保ちつつ軽量化するのは道具としての進化の方向性の一つですね。

竿は高反発のものを

これまでの話の流れからいえば当然のことですが、竿は反発力の強いものが遠投ポテンシャルがあります。樹脂(レジン)の少ない高級カーボンをたくさん使ったものだとそれだけ反発力も期待できます。カーボンをクロスして巻くなどの工夫が入った、ねじれに強い構造の竿も反発力アップに一役買います。そのカーボンが、その機能が、どれくらい飛距離アップに役立つのか?。製品スペックに出ない部分だけに比較困難です。試投会があればいいのですが、そんな機会もめったにないですので、だいたいは評判がよく高級品であれば遠投性能に間違いがあまり無いだろうと推定することになります。

ただし、反発力の強い竿は、竿先の反発速度が速く、投げる時に指を離すタイミングが難しくなります。上級者向きともいえるでしょう。ですので最初はそこまで反発力が高くない入門向けの竿で練習するのも手です。サーフでなく防波堤から釣りをする場合では、高級竿のポテンシャルを活かす投法ができないケースも考えられますのでそのあたりも一考すべきだと思います。

競技会レベルでの投げ釣りでは自分にあったガイドやリールシートの配置をします。ここでは割愛します。

減速しにくくする

遠投のためには射出された物体がなるべく減速しにくくする工夫も大事です。

飛ばすものはシンプルに

飛ばすものシンプルな形状が望ましいです。空気抵抗が少なくなるからです。オモリ等の形状はクジラのような紡錘形(水滴のような形)がもっともよいです。空気抵抗の計算要件である物体の断面積が最小になるのは球形ですが、空気の渦がネックになるため水滴形状のほうがよいのです。投げ釣りのオモリや遠投用の自立ウキなんかはまさにそれを意識して作られていますね。

空気抵抗の観点から、仕掛けもシンプルに、糸も細くしなやかなものが望ましいです。PEラインが遠投に適しているのはそうした理由です。ナイロンやフロロカーボン等で太糸で糸グセがあるとそれだけで断面積が増えますし、糸自体も重くなりますので飛距離は落ちます。

ガイドセッティングは使う糸による?

竿のガイドについては、数が多ければ竿の反発力が生きますが、抵抗が増えます。

PEラインを使う場合は、しなかやかな糸質ですので小径ガイドとの相性がよく、多めのガイドでも比較的抵抗がすくないため飛距離が出るようです。投げ竿はかつては5ガイドが多かったですが、最近ではニューガイドコンセプトが提唱されており、7ガイドが飛距離の点から優秀とされています。

ナイロンの太糸の場合は、ガイドへの抵抗が大きくなりますので、大きめのガイドで数が少ないほうが、糸の抵抗をへらすことができますので遠投に向いているという考えもあります。使う糸によってガイドセッティングの最適解も変わる可能性があるのです。

リールは大径、ロングストロークのものを

スピニングリールを使う場合、遠投専用リールを見れば一目瞭然ですが、リールのスプール径は大きくストロークは長いものだと、遠投性能が高くなります。スプール径が大きく、ストローク径が長い……つまり、糸が見えている範囲が大きいスプールほど糸がスプールの深さ方向に対して少しずつしか減りません。スプール内で糸の角度がつきにくいので糸の放出時にスプールの縁に対する抵抗を極力減らすことができるのです。スプールを何度も折り返して糸が出ていくとそれも抵抗になりますから、本来は密巻きのリールのほうが遠投に有利です。キスの投げ釣り専用リールによく見られる傾斜スプールもスプールの縁への抵抗を減らす意味で優れています。ただし、糸が抵抗なく出るということは、その分、トラブルも増えやすくなります。

両軸(ベイト)タイプのリールは、太糸の場合にスピニングタイプよりも有利になることがあります。スピニングリールは糸の減少に従ってスプールの縁に対する接触がふえるため放出抵抗が増えるのに対して両軸タイプだとそれがないからです。両軸タイプの場合、糸を整然と巻き取るのに役立つレベルワインダーがありますが、それがないもののほうが放出抵抗がなくなるので遠投には人気です。改造で取り除く人もいます。実釣では糸巻きが面倒になりますが、飛距離をとりたい人は検討の余地があるでしょう。

投げるときの心得ーー力任せに振ってもうまく飛ばない!

投げる際は、ライナーで投げるのではなく、仕掛けを斜め40度上に、空に投げるようにすると飛びやすくなります。これは完全に物理法則です。野球のホームランは30度程度が多いそうです。真空中で失速しなければ45度が理想角度ですが、空気抵抗等で実際に失速しますので、この角度になるそうです。釣りの場合も、正確な角度を測るのが難しいですが感覚的には45度くらいつけるよりはやや浅めにするほうが飛ぶ場合が多いように思います。射出速度が早く追い風で失速しにくい場合は、45度に近いほうが飛ぶでしょうし、向かい風で失速しやすく射出速度が落ちるなら浅めの角度に調節します。

実際に何度も投げて竿をうまく曲げるキャストを習得することが大事です。コツとしては最初から力むのではなく、先に触れたようにここ一番に瞬間的に力を入れるようにすると竿がうまく曲がって遠投できます。「弾く」という表現をする人もいます。野球のピッチャーは、投球時にしなやかな腕使いと瞬間的な力の入れ具合で豪速球を投げることができます。最初から最後まで全力で腕を振っているわけではないのです。

投げるときには、竿にねじれが発生しないようにまっすぐ振るのもポイントです。ねじれが発生すると反発力が低下します。最近の竿には各社工夫をしてX状の構造を持たせることで、ねじれには強くなっていますが、それでもまっすぐ振ることが大事です。

なお、本格的な投げ釣りのときはドラグの締め忘れに注意すること、フィンガープロテクターで指を保護することも必要です。何より、投げるときは周りに十分注意ですね。

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