24エクスセンスBB 他のシマノ製スピニングリールとの比較
シマノのシーバス専用スピニングリールのシリーズがエクスセンスです。
今回は、「24エクスセンスBB」と上位のエクスセンスシリーズ「エクスセンス」「エクスセンスXR」を比較します。さらに、24エクスセンスBBと同じくらいの価格帯の汎用スピニングリールでよく比較される「21アルテグラ」と「23ストラディック」もあわせて合計5機種を比較します。
機能比較(材質以外)
まずは、材質以外のリールの「機能」を比較します。
メーカー価格
メーカー価格からわかるように、エクスセンスシリーズの最上位は「エクスセンス」です。中級モデルが「エクスセンスXR」で、入門モデルが「エクスセンスBB」というわけです。2万円ずつくらいの差がありますね。
インフィニティクロス、インフィニティドライブ、アンチツイストフィン、デュラクロス
シマノの基軸リールの「23ストラディック」には、インフィニティクロス、インフィニティドライブ、アンチツイストフィン、デュラクロスの4つの機能が搭載されています。
これらの機能をカンタンにいえば以下の通りです。
- インフィニティクロス:耐久性がアップしたギアデザイン
- インフィニティドライブ:高負荷でも滑らかに巻けるシャフト構造
- アンチツイストフィン:ライントラブルを低減するフィン構造
- デュラクロス:なめらかかつ高耐久のドラグワッシャー
これらの機能は価格的に上位の「21エクスセンス」「23エクスセンスXR」にも搭載されていません。23ストラディックが優遇されていることがわかると思います。
詳細は23ストラディックの記事をご覧ください。
ボールベアリング
機種ごとに、ボールベアリング(BB)の搭載数が少しずつ違います。
これが各機種の差別化に役立っています。
ベアリングの搭載箇所は、以下のようにステップアップします。
基本的にボールベアリングは多ければ性能アップが望めます。ボールベアリングでないパーツがボールベアリングに置き換わっていき、その追加順もほぼ一律です(セフィアSS等を除く)。
どこにベアリングが搭載されているかがポイントです。
21アルテグラと24エクスセンスBBは5個ボールベアリングが搭載されていますが、中級クラスのリールにはあってほしい基本の箇所です。
簡単に言えば、「メインギアの左右」のベアリングは低価格リールにも必須級の搭載箇所です。「ピニオンギアの上下」のベアリングは、シマノでは「Xシップ」と呼ばれる構造の一部で、高負荷の巻きの滑らかさを増します。「ラインローラー」のボールベアリングは、おもにライントラブルを低減させます。
23ストラディックではボールベアリングが1つ増えますが、これは「ハンドルノブ」のべリングです。これによって巻きのなめらかさがすこしアップします。比較的軽微なアップデートと言っていいと思います。
たいして、23エクスセンスXR以上には、スプール内部に2個のボールベアリングを追加した「リジッドサポートドラグ」が搭載されています。これによりドラグがよりなめらかに出るようになります。これは汎用リールではツインパワー以上の機種に搭載される機能です。
さらに最上位の21エクスセンスにはローターナット部に1個、ウォームシャフトギア部に1個のボールベアリングが搭載されます。これらは巻き心地のアップに貢献しています。11個のボールベアリングは23ヴァンキッシュと同等です。
なお、21エクスセンスにはラインローラーに特殊な防水BBが使用されていて、特に壊れやすいラインローラーのボールベアリングをケアしています。
ラピッドファイアドラグ
「シーバス専用リール」とは何ぞや?に対する一つの回答が、「ラピッドファイアドラグ」です。エクスセンスシリーズの全機種に搭載されています。これはダイワの「クイックドラグ」のようなものでドラグを急に緩めたり締めたりしやすくなっています。
ラピッドファイアドラグ
ドラグノブの回転数に対するドラグ力の変化が大きく、ストラクチャー周りで魚を止めたいとき、足元で急に突っ込まれたときなど、瞬時にドラグ調整をしたいシチュエーションで非常に有効な機能です。
シマノHP
マグナムライトローター
シマノの汎用スピニングリールには、従来のコアソリッドシリーズと、軽量・低慣性がウリのMGLシリーズ(クイックレスポンスシリーズ)があります。マグナムライトローターはMGLシリーズ(クイックレスポンスシリーズ)に搭載される低慣性ローターです。これは、左右非対称の形状によって、すぐに止まる=低慣性を目的ととしています。ルアーを繊細に操作する釣りでは、この巻き出しが軽く、ピタッと止まる低慣性なローターが活躍します。
MGLシリーズ(クイックレスポンスシリーズ)の中上位機種に採用されますので、24エクスセンスBBにはマグナムライトローターが搭載されていません。
マグナムライトローター
回転慣性を低減化しローター剛性を強化
シマノHP
左右非対称のローター構造を採用し、操作性と感度の向上を求めて、異次元の回転の軽さを実現したマグナムライトローター。さらにラインローラーの軽量化、ベールのチタン化、ローター肉厚の最適配置を行い回転慣性の低減に成功した。
材質の比較
最後に、リールのパーツに使われる材質を見てみましょう。
材質の差よって強度・剛性・軽量さが変わります。
ローターはボディの上に載るハンドルを回して回転する部分。
ベール(ベールアーム)は糸を誘導する針金状の部分。
スプールリングはスプールエッジを構成するパーツ。
画像出典:シマノHPから画像改変
リールに使用される素材の重さに対する強度(比強度)や重さに対する変形のしにくさ(比剛性)は、おおよそ下記の通りだと考えられます。
(参考:比強度の一覧表、参考:マグネシウムの基礎知識、「マグネシウム合金」という素材)
チタン > マグネシウム > アルミニウム > ステンレス > CI4+ > 高強度樹脂
※素材には様々な種類があり、特に金属の合金は特性がまちまちです。リールの価格からの推測も入れています。
ボディ材質
リールの剛性で最も大事なのはボディの材質です。24エクスセンスBBのボディの素材はCI4+です。金属ではないので剛性や強度は落ちますが、実用上十分です。
ローター材質
ローターの材質も大事です。ここがヤワなリールだと大物を掛けたときにラインローラを支える部分がたわんで巻き取りに影響がでます。
24エクスセンスBBは高強度樹脂製のローターとなっています。必要最低限のものになっています。
もっとも、どんな素材がどれくらい、どのように使われてるかで剛性は決まりますので、樹脂製というだけでヤワだとは一概には言えません。
ベール材質
24エクスセンスBBにはステンレス製のベールが採用されています。こちらも実用上十分な素材といえます。
スプールリング材質
スプールリングも傷が付きやすいので工夫が凝らされる箇所です。24エクスセンスBBには、アルミスプールにスプールリングはアルマイトになっています。こちらも必要最低限のセッティングです。
24エクスセンスBB 総まとめ
以上、24エクスセンスBBの機能や素材は最低限ここは外せない、というものに絞っており、入門者向けのシーバスリールともいえます。
24エクスセンスBBを買うことの意義は、コスパ高く「ラピッドファイアドラグ」を使いたい、これに尽きます。以下に派生元となる21アルテグラとの違いを示します。
- 24エクスセンスBB = 21アルテグラ+「ラピッドファイアドラグ」
24エクスセンスBBはスペック的には21アルテグラに「ラピッドファイアドラグ」がついたバージョンです。エクスセンスシリーズ内では「マグナムライトローター」がついていない唯一のソリッドコアシリーズという点も指摘しておきます。
シーバスフィッシングの入門機に最適な本機ですが、残念な点は、インフィニティクロス、インフィニティドライブ、アンチツイストフィン、デュラクロスといった汎用スピニングリールの最新機能が1つも採用されなかった点です。下位機種の上位追い越し禁止で、上位のエクスセンスから採用されるという流れかもしれません。
この点を加味するなら「ラピッドファイアドラグ」や「マグナムライトローター」が不要な人は少し高くなりますが23ストラディックを選ぶ選択も悪くないと思います。
最後に、エクスセンスシリーズの関係性をまとめます。
24エクスセンスBB
↓
ローター剛性UP+ドラグ性能UP+低慣性ローター
↓
23エクスセンスXR
↓
ボディ剛性UP+巻き心地UP+防水ラインローラーBB+高耐久スプールリング
↓
21エクスセンス
こうしてみると、価格差がきれいに反映されたシリーズになっています。目的や予算に応じて検討してみてください。
シマノ23ストラディックの記事はこちら
コメント