「堤防から泳がせでブリを狙う場合、おすすめの竿は?」
「ショアジギングロッドは使えるの?」
「ダイソーの竿は使える?」
最初に答えを書きますね。
- 汎用性重視、数釣り、ウキ釣りメインなら……「遠投磯竿4号5mクラス」
- 大型狙い、エレベーター仕掛けメインなら……「遠投磯竿5号5mクラス」
- フリー仕掛けメインなら……「ショアジギングロッド」でOK
- 腕が立つ人なら……「ダイソーロッド」でOK
以下では、竿の「選び方」と「おすすめの竿」の銘柄をランキング形式で紹介します。
堤防泳がせ釣りの「竿」の選び方
磯竿の「号数」の考え方
まずは基本です。磯や防波堤でよく使われる「磯竿」には扱える糸の最低限の太さが「号数」として設定されています。たとえば「1号の磯竿」は「ナイロン1号以上の太さの糸を使ってください」という意味です。「3号の磯竿」となると「ナイロン3号以上の糸」を使いますので、1号の竿よりパワーのある竿になります。
対して、投げ竿の「号数」はその竿に推奨されるオモリの重さが設定されています。30号の投げ竿なら30号のオモリを快適に投げられる、といった具合です。混乱しそうですが、つまり、竿の号数は竿のパワーなのだ、ととらえるとスッキリします。
「遠投磯竿3号」は頼りないがやれなくはない
「遠投磯竿3号」はナイロン3号以上推奨の竿で、だいたいナイロン5号が最適な竿になっています。これですと、60-80センチ3~5kgのブリ(関東ではワラサ、関西ではメジロと呼ます)は大丈夫です。
私も遠投磯竿3号で80センチ5Kg程度のブリを掛けたことがありますが、竿がぐんにゃり曲がって心もとなかったです。キャッチはできましたが、障害物に走られたら切られていたでしょう。すぐに4号の遠投磯竿を買うことになりました。
遠投磯竿でも高価なものになると、高級なカーボンをふんだんにつかうので反発力が強くなります。そのために「遠投磯竿3号で十分」という人も多くいます。実際のところ、竿の号数は明確な基準はあまりなく「弱い4号」もあれば、「強い3号」もあるのが現状です。
なお、遠投磯竿は磯竿とは異なります。遠投磯竿は磯竿より強く、糸が通る穴(ガイド)の径が大きく、脚高に設計され、リールの固定がしっかりできる仕様になっています。
最も汎用性の高い「遠投磯竿4号」
ブリ狙いだと「遠投磯竿の4号」が一般に推奨されます。これは道糸としてナイロン4号以上推奨で、だいたいナイロン6号を巻くときに最適な竿になっています(竿によって多少異なります)。実際、「遠投磯竿4号+ナイロン6号」の組み合わせは80センチ5~6kgのブリでしたら、強引なやり取りさえしなければまず大丈夫なセッティングです。もちろん障害物さえなければ、90オーバーも問題なく取り込み可能です。
遠投磯竿4号の竿は、穂先が硬すぎないためウキ釣りでもアジをやさしく飛ばすために扱いやすく、ほかの泳がせ釣りの釣り方も無難にこなせるオールマイティーな竿の号数ともいえます。初めて買う人にはおすすめの号数です。
大物狙いなら「遠投磯竿5号」
メーターオーバーのブリを狙いたい場合、「遠投磯竿5号」がおすすめです。これはだいたいナイロン8号を道糸に巻くのに最適な竿です。90センチ8kg以上の大物を掛けた時に安心感がグッと増します。パワーがありますのでエレベーター仕掛けで重たいオモリを遠投したい場合にも具合が良いです。
なお、エントリークラスの竿を選ぶ場合、高級機種より若干パワーが弱いとされていますのですこし強めを買うほうがいいです。
負荷に合わせるのが竿選びのコツ
竿は負荷を吸収し反発する「バネ」です。「強いバネ」は「大きな負荷」に適しています。「細いバネ」は「小さな負荷」に適しています。「強いバネ」に「小さな負荷」だと、「バネ」は動かず機能しません。逆に「弱いバネ」に「大きな負荷」だと、「バネ」がのされて、これまた機能しません。負荷にうまく対応するには想定される負荷の大きさに見合った「バネ」を用意することが大事なのです。
さて、釣りにおいて負荷は2つあって、それは「魚の引き」と「仕掛けを投げるときの負荷」です。どちらを重視するかは通常どちらの負荷が大きいかで決まります。たとえば、泳がせ釣り・ノマセ釣りでは「魚の引き」のほうが「仕掛けを投げるときの負荷」より大きいので魚の引きに耐える道糸にあわせて竿の号数を選択しますし、キスの投釣りでは「仕掛けを投げるときの負荷」のほうが「魚の引き」より大きいので投げたいオモリにあわせて竿の号数を選定します。
そのため、泳がせ・ノマセ釣りでは道糸→リール・竿のようにえらぶのが合理的なのです。
長竿のメリット
竿の長さは5メートルクラスがおすすめです。
長い遠投磯竿は使い始めは持ち重りをして不快に思うかもしれません。しかし長竿にはたくさんのメリットがあります。
- 1)遠心力をつかってエサにやさしくふんわりと遠投しやすい。
- 2)竿を立てて高低差を作れるので、「エレベーター仕掛け」の送り込みに便利。
- 3)「バネ」が長いために魚の強烈な引き込みに耐えやすい。
- 4)魚の泳ぐ方向のコントロールが効くので障害物を避けやすく糸が切られにくくなる。
「ショアジギングロッド」や「投げ竿」は使える?
仕掛けの短い「フリー仕掛け」「ブッコミ仕掛け」の場合、長い磯竿より「ショアジギングロッド」のほうが取り回しがよく便利なため愛用しているベテランも多くいます。
また、「投げ竿」には圧倒的なパワーがありますので、オモリをぶん投げる「エレベーター仕掛け」なら有効に使えます。
ただし、これらの竿はデメリットもあります。特に穂先が硬い竿は、「ウキ仕掛け」や「エレベーター仕掛け」でやりにくさが出てきます。硬く短い竿は「ウキ仕掛け」だと、飛距離を出すために高速なスイングが必要となり、生き餌がちぎれてしまうリスクが高くなります。また、「エレベーター仕掛け」のキモの一つは「道糸を張ること」なのですが、穂先が硬いとパワーがありすぎて道糸を張るときにオモリごと引っ張ってしまい、道糸を張りづらいことがあるのです。その場合、重いスパイクオモリ等との組み合わせが必須となります。
以上のことから「フリー仕掛け」や「ブッコミ」仕掛け以外では、「遠投磯竿」をおすすめします。
ダイソーロッドは使える?
「ダイソーの竿」はグラス製なので粘りはあります。ガイドが錆びやすく外れやすいので、安物買いの銭失いになりやすいです。腕のある釣り人ならまだしも初心者にはおすすめしません。
それでも挑戦したい人は「振り出し竿の270cm」を使ってください。ダイソーの竿の中では一番パワーがあります。竿が短いために手前で悠長にやり取りすると障害物に巻かれますので、ある程度沖で弱らせたら、手前は一気に巻いてくるとキャッチ率が上がります。道糸3号の子供用のグラス竿で80センチオーバーのブリを釣った人を見たことがあります。
「釣れる釣り」なので試行錯誤を楽しめる
やってみると意外と釣れる釣りですので、まずは手持ちの竿でスタートしてやりにくさを感じたら遠投磯竿の購入を検討されるといいでしょう。地元の人の釣り竿をみせてもらうと、シーバスロッドのような竿でやっている人も見かけます。
堤防泳がせ釣りの「竿」おすすめ機種 ランキング
堤防からのブリ狙いなら、あまり高い竿は必要ありません。
1万円台の竿と2万円台の竿は若干性格が異なりますので、分けてランキングにします。
1万円台の竿
ダイワ・シマノ最安の1万円台の竿は、2万円台の竿より若干穂先等が細く柔らかめに設計されています。そのため、遠投性はやや犠牲になります。ただ、初心者にとっては穂先は強すぎない竿のほうが使いやすいのでおすすめです。
1位 ダイワ「リーガル」
「リーガル」は昔からある機種で、この3機種中メーカー価格が一番高い分、尻栓が分厚いゴムキャップになっていたり作りはいいです。先径が細く元径が太い竿は(テーパーが効いた竿は)、素材を厚巻きしてアクションを変えた竿より、一般に竿の曲がりがスムーズでパワーの特性が優れているとされています。「リーガルの4号-53遠投」は先径1.5mm元径26.3mmです。「リバティクラブ磯風4号-53遠投・K」は先径1.6mm元径24.2mm、「ホリデーイソ4-530PTS」は先径1.6mm元径23.8mm程度です(元径は実測値)。こうしてみると、「リーガル」が若干ではありますが、パワー特性に優れているといえます。カーボン含有率も高く、入門者におすすめの機種です。
2位 ダイワ「リバティクラブ磯風」
「リバティクラブ磯風」の発売年は新しく、バット部がクロスカーボン仕様「ブレーディングX」になって補強されています。そのため、リーガルとはちがった形でパワー特性を補強しているといえます。また、カーボン含有率が高い素材を使用していますので飛距離も期待できます。「リーガル」とほぼ同率の2位です。
3位 シマノ「ホリデーイソ」
「ホリデーイソ」はこの中で、もっともカーボン含有率は低いですが、実際に使用していて、上記のダイワの竿と使用感の差はあまり感じられないです。ただ、最もテーパーの効いていない竿なので、元まで曲がりやすい竿になっていると考えられます。
安い竿は折れやすい?
これら3本の竿には、「折れる」というレビューが散見されます。初心者ですと竿の扱いに慣れていないので、地面に竿を置いたり竿を倒したりして知らずに傷を付けてしまっているケースもあるかと思いますので参考程度にしてください(他の1万円前後の磯竿も軒並み同じレビュー傾向です)。特に、仕掛けをつけたままの収納をする場合、収納時に穂先だけ曲がって折れやすいので注意です。ただ、個人的な経験では「ホリデーイソ」は2本所有していますが、何度か粗相で穂先を折ってしまいました。若干折れやすさがあるような気がします。
2万円台の竿
- シマノ「アドバンスイソ」(2万円前後)
- シマノ「磯遠投AX」(2.5万円前後)
- ダイワ「インプレッサ」(2.3万円前後)
- ニッシン「N’s遠投」(2.6万円前後)
(※価格は2024年6月、4号5メートルクラスのアマゾンでの販売価格です)
2万円台の竿は、先径が太く、頑丈で反発力が強いので遠投に向いています。大型魚とのパワーファイトも安心して行える設計になっています。
1位 シマノ「アドバンスイソ」
「アドバンスイソ」は上位の「磯遠投AX」と同等のカーボン含有量の素材が使われています。「スパイラルX」による補強がされており、遠投がききやすいです。穂先がかなりしっかりしたつくりになっており、パワーも耐久力もあります。折れに関するレビューも少ないです。
2位 シマノ「磯遠投AX」
「磯遠投AX」はシマノの遠投磯竿のスタンダードモデルなので、その性能はこれまでに紹介したどのエントリーモデルよりも高いものになっています。「これを買っておけば安心」という安心感があります。「スパイラルX」採用で反発力が高く、遠投を重視する方に特におすすめしたい機種です。
「ダイワ」VS「シマノ」
「ダイワ」と「シマノ」の磯竿の特徴は、「ダイワ」の竿は若干先調子気味に設計され「シマノ」の竿は竿全体がよく曲がるという伝統があるようです。それはロッドテーパーにも見ることができます。特に高級グレードになるとその差はでますが、1万円~2万円前後竿は顕著な違いはないです。ただ、可能であれば先調子気味の竿をおすすめします。特にエレベーター仕掛けを沖に送るときに便利なのと、大物にはバット部にパワーが残る先調子気味の竿のほうが竿が勝手に仕事をしてくれるので都合がいいのです。
3位 ダイワ「インプレッサ」
2万円台の遠投竿として、ダイワには「インプレッサ」があります。ブランクスのカーボン含有率が高いのはもちろん、レジンの量が少ない「HVF」を使用しています。ネジレ防止に「X45」というカーボン繊維の斜め巻き手法も採用しており、パワーファイトが可能です。竿先端付近に「IMガイド」を採用してライントラブルを軽減するなど、上位モデルの「波濤」(ハトウ)に迫るスペックで、遠投に向いた仕様になっています。
4位 ニッシン「N’s遠投」
ダイワ、シマノ以外のメーカーだと宇崎日新(ニッシン)の竿もいいです。このメーカーの竿は、安いグレードでもSiCガイドが採用されていたりするのがポイントです。SiCガイドは、硬度が高く傷に強い素材でありながら放熱性が高いので熱に弱く異物を拾いやすいPEラインと相性がいいガイドリング素材です。ただし、最も廉価な「プロスペックISOのKW遠投」はカーボン含有率が低めなのが気になります。「N’s遠投」はクオリティが高いです。4号プラス5.3メートルがおすすめですが、店頭で見かけるのは大型店のみでしょう。
別のメーカー製品ではもっと安い竿もありますが、品質に不安な点が多くリスクがあります。
初心者はまずは安い竿を!
初めて長竿を買うなら最初は最高級の竿ではなく、上記で紹介した「エントリークラス~スタンダードクラス」の竿がいいです。長竿は扱いにくく傷をつかないようしないと、不意に傷が入ってポッキリ折れます。
特にこの釣りは置き竿をしたり急なアタリで不意に竿が引っ張られたりして竿が傷つきやすいです。最初は気兼ねなくガシガシ使える竿を使うほうがいいです。竿を何度か折って竿の扱いに慣れてから必要を感じたら高級な竿に移られることをおすすめします(お金持ちの人は別です)。
ちなみに何万円もする高級竿はカーボンの質や割合、糸が通るガイドの質などがいいです。反発力が強いので、遠投性能も高くなりますし、大きな魚がかかったとき耐えてるだけで勝手に魚が疲れてくれる竿です。ただし、高級品は軽さを追求する傾向にあり、樹脂の少ないカーボンを使うためちょっとした傷に弱いことがあります。竿が重くても全く問題ない釣りですので、まずはエントリークラスの竿を使って慣れてからグレードアップすることをおすすめします。
泳がせ・ノマセ釣りの道具の全般については以下の記事を参考にしてください。
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