「ルアー釣りで上級者が満足できる機種がほしい」
「軽くて操作性の高いリールがほしい」
「コスパも重視したい」
そんなかたにおすすめな機種がシマノの「ヴァンフォード」です。
「ヴァンフォード」は「ストラディック」、「アルテグラ」と実売2万円前後であり、ミドルクラスの汎用スピニングリールです。
今回は、「24ヴァンフォード」はどんなリールでどんな釣りに向いているのか、その特性を明らかにするために以下の2つの軸から比較していきます。
- 「24ヴァンフォード」と前「20ヴァンフォード」の比較(垂直比較)
- 「24ヴァンフォード」と「23ストラディック」と「25アルテグラ」の比較(水平比較)

このページを見てもらえれば、このリールのことが全部わかるようにまとめました。
「24ヴァンフォード」には4つの機能が新搭載
まずは外観の比較です。

「24ヴァンフォード」は赤色をかなり控えめにして様々な竿に合う配色になっています。
「20ヴァンフォード」から「24ヴァンフォード」に進化して追加された機能は4つです。

- 1)インフィニティクロス
- 2)インフィニティドライブ
- 3)アンチツイストフィン
- 4)デュラクロス

「23ストラディック」と同じアップデート内容です。
表にまとめると以下の通りです。

・価格は若干アップしましたが、ほぼ据え置きです。
・重量はほぼ同じです。番手によって同じか5gほどの増減がありました。
機能面のアップデートを順番にみていきましょう。
1)ギアの接地面積増加で耐久性アップ「インフィニティクロス」
「インフィニティクロス」は接地面積が増加したギアです。

新旧のギアの歯面の比較画像をみると、歯面がやや浅くなりかなり長くなったのがわかります。

シミュレーションの結果を見ると、新しいギアでは強い負荷がかかる赤い部分が減っていることがわかります。

ギアに集中的な負荷がかかることを防ぐことで、ギアの耐久性が従来品の約2倍になりました。
2)よりなめらかな巻きを実現する「インフィニティドライブ」
「インフィニティドライブ」とは、メインシャフト周りの改良です。

具体的には以下の2つのポイントを改良しています。
- メインシャフトを特殊低摩擦ブッシュで支持する
- メインシャフト自体を特殊表面処理や特殊加工する
「メインシャフト」はスプールを上下させる棒です。
このパーツを滑らかに動作するようにしたので、高負荷時でもなめらかにスプールが上下し、よりパワフルに巻くことができるのです。

「インフィニティドライブ」と「X-SHIP」との関係
そもそも、スピニングリールは「ハンドルの回転」を「ロータの回転」「スプールの上下運動」の2つの動きに変換する道具です。
・「X-SHIP」:「ローターの回転」を滑らかにする
・「インフィニティクロス」:「スプールの上下運動」を滑らかする
この2つの機能が組み合わさって、高負荷時でもパワフルに巻くことができるのです。
3)ライントラブルを減らす「アンチツイストフィン」
「アンチツイストフィン」とはラインローラー下部の弾性体のフィンです。

これにより糸が脱落した状態(いわゆる「糸落ち」)を防ぐため、ライントラブルが低減します。
4)なめらかなドラグ性能と耐久性の両立「デュラクロス」
「デュラクロス」は新材料のドラグワッシャーで繊維を直交(クロス)させたものです。

シマノの耐久テストでは、従来のフェルトワッシャーが摩耗する状況でも、「デュラクロス」は無事でした。

その耐摩耗性たるや、従来品の10倍以上にアップしています。
この「デュラクロス」の素晴らしいもう一つのポイントは、なめらかなドラグ性能はそのままだということです。

いいとこどりの「デュラクロス」
耐摩耗性であればカーボンワッシャーが優れています。実際、大型SWリールではカーボンワッシャーが主流です。しかし、滑り出しの滑らかさはフェルトワッシャーに分があります。「デュラクロス」はフェルトながら繊維方向の工夫で耐久性をアップさせた点でいいところどりとなっています。
「24ヴァンフォード」の新機能のまとめ
「24ヴァンフォード」の新機能をまとめましょう。
- ギアの耐久性アップ(インフィニティクロス)
- 高負荷時の巻取り力アップ(インフィニティドライブ)
- ライントラブルの低減(アンチツイストフィン)
- ドラグ耐久性アップ(デュラクロス)
今回のアップデートは全体的にパワー系、耐久性向上を主眼としたアップデートが多かったです。
その中でも「アンチツイストフィン」はリールを巻いたり止めたり、ルアーをテクニカルに操作するシーンが多くなるヴァンフォードユーザーには相性の良いアップデートです。
「24ヴァンフォード」には「インフィニティループ」(密巻き機能)が搭載されませんでしたが、上位の「23ヴァンキッシュ」との差別化なのでしょう。
ラインナップの変更点
ラインナップは以下の通り変更がありました。

「C2500SHG」(ギア比6)が廃止されるかわりに「C2500S」(ギア比5)と「C2500SXG」(ギア比6.3)が登場し、注目を集めています。ギア比の選択の幅が広がり嬉しい人も多いのではないでしょうか。「C3000」と「4000」は不人気なのか廃止です。
ボディサイズ
13ラインナップのうち、ボディサイズ(ドライブギアのサイズ)は3種類です。

人気のある番手が展開されています。
人気ランキング
アマゾンでの人気ランキング(評価数、文章レビュー数)を見てみましょう。
順位 | 番手 |
---|---|
1位 | 2500SHG |
2位 | C2000SHG |
2位 | C3000HG |
2位 | C2000S |
2位 | C3000SDH |
6位 | C5000XG |
6位 | C2500SXG |
8位 | C3000XG |
8位 | 2500S |
10位 | C2500S |
10位 | 4000XG |
12位 | 4000MHG |
12位 | 3000MHG |
軽量さや低慣性ローター搭載でテクニカルな釣りで活躍する機種なので、小型~汎用小のサイズが人気です。

「24ヴァンフォード」と「23ストラディック」と「25アルテグラ」を比較
次に、シマノの3つのミドルクラスの汎用スピニングリールである「24ヴァンフォード」と「23ストラディック」と「25アルテグラ」の比較をします。
最初に違いをいうと、「24ヴァンフォード」は「23ストラディック」の「軽量、低慣性ローター版」です。
主な違いの一覧表
主な違いを一覧表にしてみました。

この3機種、外観は違いますが、メインギア、ピニオンギア、ウォームシャフトなど駆動系は全く同じものを使用している3兄弟です。
もともと、ヴァンフォードは「ストラディックCI4+」という名前でしたし、25アルテグラには23ストラディックのローターと24ヴァンフォードのボディが採用されています。
つまり、最初にストラディックがあり、その軽量版としてヴァンフォードが生まれ、ストラディックとヴァンフォードのキメラがアルテグラなのです。
ボールベアリングの違い
ボールベアリングが搭載されると、その部分の回転性能がアップします。
「25アルテグラ」にはエサ釣りでも必要な基本的な箇所すべてにボールベアリングが搭載されています。
「23ストラディック」には、ハンドルノブに1個ボールベアリングが追加されています。
「24ヴァンフォード」では、ハンドルノブにさらに1個ボールベアリングが追加されます(下図)。

つまり、3機種のボールベアリングはハンドルノブに搭載されるかどうかだけの違いです。ハンドルノブにボールベアリングが増えれば、それだけ繊細なルアーフィッシングに使いやすいリールとなります。

ボールベアリングの追加カスタム
「25アルテグラ」や「23ストラディック」にはハンドルノブにボールベアリングを追加して「24ヴァンフォード」化することができます。

「24ヴァンフォード」は超軽量!
C3000XG同士の重量を比較してみましょう。
「23ストラディック」は225g、「25アルテグラ」は220gと決して重くはないのですが、「24ヴァンフォード」の自重は180gと圧倒的な軽さです。
シマノ汎用機で最軽量は「23ヴァンキッシュ」の170gで、それの次にくるのが「24ヴァンフォード」です(下図)。

40グラムも軽量だとその軽さは十分に体感できます。
ボディ素材の違い
「24ヴァンフォード」のボディの素材はカーボン入りのプラスチックである「CI4+」製です。これによって軽量さが出ているのです。「25アルテグラ」も「24ヴァンフォード」のボディを継承しているので、「CI4+」製となっています。

それに対して「23ストラディック」はボディでも特に負荷のかかるリールフット部分は「アルミニウム」製であり、剛性を重視したセッティングとなっています。

フルメタルボディではない
画像では隠れていますが、「23ストラディック」のギアボックス側は「高強度樹脂」素材となっています(下図)。

「マグナムライトローター」とは何なのか
ハイクラス3兄弟のうち、「24ヴァンフォード」は「マグナムライトローター」が搭載されている「MGLシリーズ」です。


「22ミラベル」という例外あり
「22ミラベル」は「21ナスキー」のCI4+版です。22ミラベルには例外的に「CI4+製」だけの特徴を持つ廉価版「マグナムライトローター」が搭載されています。
マグナムライトローターの特徴1「軽量さ」
マグナムライトローターはとにかく「軽量さ」が特徴です。
軽量化のために随所に工夫が施されています。
ローター素材を「CI4+」製にして軽量化することを基本として、ラインローラー部の軽量化、ローター肉厚の最適化やベールを「チタン」製にすることで徹底的に軽量化を実現しています。

一方で「23ストラディック」のローターは「高強度樹脂」製です。「25アルテグラ」も「23ストラディック」のローターを継承していますので「高強度樹脂」製です。これらのリールのベールは、チタンより重い「ステンレス」が採用されており、軽量さを重視しないセッティングになっています。

マグナムライトローターの特徴2「非対称な形状」
マグナムライトローターは「非対称な形状」も特徴の一つです。

「24ヴァンフォード」のローターを見ると、マグナムライトローター特有の非対称形状をしていることがわかります(下図)。

マグナムライトローターのねらいは「低慣性」
ローターが「軽量」で「非対称性」が高いほど、低慣性になり、ローターの回転が止まりやすくなります。
ルアーを繊細に操作する釣りでは、巻き出しが軽く、止めたいときにピタッと止まるこの低慣性なローターが活躍します。「24ヴァンフォード」はハンドルを動かしたり止めたりする機会が多い釣りに向いているのです。
一方「23ストラディック」や「25アルテグラ」はマグナムライトローターは非搭載の「コアソリッドシリーズ」です。軽量さよりも剛性やローターの慣性を利用したリールを巻くことが多い釣り(高速巻き、一定速度の巻きが多い釣り)で活躍するリールです。
ローターの慣性に関する実験結果です。

回転スピードS1に到達するまで、24ヴァンフォードはT1しかかからない。
シマノHPから改変
ローターが低慣性であればローターがある回転速度に至るまでの時間が短くなります。この実験では「23ストラディック」より「24ヴァンフォード」が39%も低慣性だということがわかりました。
デュラクロスの有無
「24ヴァンフォード」と「23ストラディック」には高耐久ドラグワッシャーである「デュラクロス」が搭載されていますが、「25アルテグラ」には搭載されていません。
デュラクロス自体は高価でもないので、弟分の「25アルテグラ」に搭載しなかったのは、メーカー的に3兄弟に差をつけるための措置だと思います。
「24ヴァンフォード」総まとめ
「24ヴァンフォード」はMGLシリーズの中核機、「23ストラディック」はコアソリッドシリーズの中核機、「25アルテグラ」はその2機種のキメラです。
3者のギアは共通であり、違いはボディなど以下の通りです。
名称 | 特徴 | ドラグワッシャー | ハンドルノブBB |
---|---|---|---|
24ヴァンフォード | 軽量 ・CI4+ボディ ・CI4+ローター ・チタンベール | デュラクロス | 2個 |
23ストラディック | 剛性 ・アルミボディ ・樹脂ローター ・ステンベール | デュラクロス | 1個 |
25アルテグラ | 普通 ・CI4+ボディ ・樹脂ローター ・ステンベール | ノーマル | 0個 |
メーカー価格は「24ヴァンフォード」がやや高いですが、ボールベアリングがハドルノブに2個、ベールに高価なチタン素材が使用されていることもその理由の一つだと思います。
これを踏まえて、それぞれのリールにおすすめの釣りを挙げます。
これらのミドルクラス機はシマノの汎用機の上級機の良いところをもらっている非常にコスパが高い機種ばかりです。用途にあわせて選んでみてください。



「23ストラディック」の記事はこちら
「25アルテグラ」の記事はこちら
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